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ビートルズ解析例 その11 「ベース。セミアコ vs ソリッド。」

最近、帰りの電車の中で毎日何かしらの発見があって楽しい。電車に乗っている時間の合計は1時間に満たないのだが。
物事何でもそうだと思うが、「絶対にやってやろうと」思って取り掛かるとたいていはできるものだ。
逆に、漫然とただ時間をこなすだけで臨むと成果はあまり得られない。

若き企業研究者だった頃、「今日は必ず何か発見して見せるぞ」と張り切って1日に臨むと、何らかの発見は得られるものだ。
田中耕一さんほどではないが、そんな1日の発見が製品の実用化の大事な手がかりにもなったことがある。
1日で成果を上げられれば1年の成果はすごく大きくなるだろうし、1日で成果を上げられなかったら1年なにも進歩しない可能性もある。

さて今日のテーマはベースの機種についてである。
前から気になっていたのは、1965年にリッケンバッカーよりソリッド型のベース4001型がポールにプレゼントされ、アルバムRubber Soulから使われ始めたことになっている。
それまでポールは、バイオリンの形をしたカールヘフナー社のセミアコースティック型のベース500-1型を愛用してきたのだが、65年後半からリッケンに移行し、その後2機種を使い分け、解散後はリッケンを中心にソリッドに完全移行する。(ただし、1989年以降はまたヘフナーを使う機会が現れる。)

ビートルズの中期からソリッドベースが導入されたことにより、サウンドにどんな効果がもたらされたのか、ずっと関心があった。そして、65年以降、どの曲がリッケンでどの曲がヘフナーなのか、も知りたかった。
しかし私はそれを聴く耳を持っていなかった。
若い時バンドをやっていたとはいえ、私はエレキ楽器の聴き分けにはそんなに詳しくない。
また、「ビートルズに関しては誰にも語り負けたことはない」とはいっても、ある曲が誰が何の機種で録音したのかなどの情報はそんなに詳しくはない。
なので、今日書くことは多分に間違いがあると思うので、ご存知の方は是非正していただきたい。

で、今日帰りの電車に乗るや、「ならば理屈の上で考え、ヘフナーとリッケンの違いを自分なりに聴き分ける方法を帰り着くまでに確立しよう。」ということで、早速考えに取り掛かった。
セミアコはポロボディーを持つのでやわらかい音がする、などはよく言われるが、そういう捉え方ではなく、しっかり原理を考えることにした。

セミアコはホロがあるとは言っても、音を拾うのはマイクではなく、ソリッドベース同様、ピックアップである。
ピックアップは、弦の振動による磁力線の「ぶれ」を検出し、電気信号に変える。
だからセミアコもソリッドも、弦とピックアップの関係なのである。

違いは何かというと、ソリッドベースでは弦とボディーは共鳴しないが、セミアコベースでは共鳴する。
ソリッドでは純粋に弦が固有に振動する状態のみを捉える。
一方、セミアコは、弦とボディが共鳴、物理学的に言うと共振、を起こす。
具体的には、弦とボディの振動数が同じか、公倍数がある場合に影響を及ぼし合い、音が鳴る(音をもらう)のである。

詳しいことはともかく、弦にすれば、弦だけをつまびくよりもたくさんの音が鳴るわけである。
であるなら、セミアコでは音がブロードに聴こえ、音程を聴きにくいのではないか、と電車の中で考えた。
つまり、ある曲がリッケンで演奏していたなら音程を聴きやすく、ヘフナーなら聴き取りにくいのではないか、と仮説を立てた。
ここで言う「音程を聴きやすい」とは、絶対音感のことではなく、自分なりの音階で聴き分けられると言う意味である。要するにコピーできる、という意味である。
「聴き取りにくい」とは「音を同定できない」という意味である。

この仮説は我ながら興奮した。もしこれが事実ならすごい発見だと思った。
そしてがむしゃらにi-Podをカバンから取り出し、典型的な曲を聴き比べてみた。
完全にリッケンを弾いていることがわかっているAll You Need Is Love(あの衛星生中継でリッケンが映っている)と、ヘフナーで演奏したルーフトップの曲のいくつかを聴き比べてみた。
そして思わず手をポンと打った。「仮説が合っているぞ!」。思わず叫びそうになった。
All You Need Is Loveのベースは音が取れる。でもルーフトップは音があまり取れなかった(明らかにベースのメロを元から知っている曲は除く)。

そして次は、アルバムHelp!とRubber Soulを聴き比べた。
するとすると、結構古いベースだと思っていたRubber Soulの曲々のベースの音が取れること、取れること、そしてHelp!の曲々のベースの音が取れないこと、取れないこと。
この極端な差には本当にびっくりした。あまりの差に、これを書いている今も興奮が収まらない。

そして、Rubber Soulの中に例外があった。Nowhere Manである。このベースは聴き取りにくい。これはヘフナーなのだろうか?

Sgt. Pepper'sはヘフナーで録ったというのを聞いたことがある。
そして改めて聴いてみたが、やはりベースの音が取りにくかった。
ただし、Sgtの曲のベースのメロは知っているのが多いので、判断がしにくい部分もあるので、断言はできない。
Lovely Ritaは聴き取りやすい。リッケンだろうか?

White Albumの曲もいくつか聴いてみた。
リッケンとヘフナーが使い分けられているようである。
ベースの名曲Dear Prudenceのベースの音程は取りにくかった。これはヘフナーかもしれない。

そしてあの革命的ベースの名曲Paperback Writerを改めて聴いてみた。
音程が大変取りにくい。きっとヘフナーであろう。

では、セミアコとソリッドとどちらがよいのだろうか?
以前書いた1/f揺らぎの議論において、低音を厚くする方が聴くに心地よいという仮説を立てた。
その意味からするとセミアコ=ヘフナーが心地よいと言える。
しかし、ソリッドはサウンドコントロールが豊富であるので、そちらで厚くすることもできるだろう。

それにしても、Don't Let Me Downのように、一体どの音で弾いているかわからない「魔法」のようなベースはセミアコのなせる業なのかもしれない。
初期においても部分的にベースの音の取りにくい曲が結構ある(All My Lovingなど)。そしてそれは間違いなくいい曲だ。
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テーマ : ビートルズ関連
ジャンル : 音楽

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No title

実際にHOFNER62を所有している者です。

理屈で考えるのではなく、実際に楽器を手にして仮説を立てて下さい。
HOFNERベースとは、低・中音域が程よく響き、高音域は全くと言っていい程聞こえません。
且つサスティンが無い。故にロック系の音には不向きなのです。
そして、HONERと一番のRickenbackerの違いはアタック音です。
以上を踏まえて音源を聞くと、その音の違いは明確に現れています。
・Nowhere Man=HOFNER
・Sgt. Pepper's=全曲Rickenbacker・・しかしBeing For The Benefit Of Mr. Kite!は判別不可。
・Dear Prudence=Rickenbacker
・Paperback Writer=Rickenbackerでなければあの音は表現できません。イントロ→ギターリフ→メロディに入る前の高音域をきちんと聞いて下さい。音程が聞き取りにくいなどもってのほか!この曲はベースの音がボーカルか?と思うほどベースラインが際立っています。
因みに似たような高音域のフレーズがDon't Let Me Downでも聞き取れますが、明らかに違うはずです。

>ソリッドはサウンドコントロールが豊富であるので
とありますが、ソリッド程音が限定される楽器はありません。
Rickenの音はHOFNERを用いてアンプとペアで音作りをすることが出来ますが、RickenでHOFNERの音を表現することは出来ません。
これはギターでも言えることです。
一度、I Saw Her Standing ThereとGetBackを聞き比べてみて下さい。
フレーズはほぼ同じですが、音の輪郭はまったく違うはずです。
楽器というものは、長年付き合ってこそその特徴や長所短所がわかるものですよ。

No title

コメントをくださった方へ
大変詳しいコメントをどうもありがとうございました。
お話の点をかんがみて今一度よく聴いてみたいと思います。

ジャズベース?

推理、推測するのって楽しいですよね。今 僕はHOFNER club Bass でヒアカムザサン をコピーしているんですが、実際はベース何を使っているのかなぁ‥ あの頃はリッケンて言われてますがジャズベースのR PA寄りの高音出し、と思うのですがいかがでしょうか‥♪?

ジャガースケールさん

はじめまして。当ブログにおいでいただき、そしてコメントをくださいましてどうもありがとうございました。
おっしゃるように、推理、推測はとても楽しいことだと思います。
ジャガースケールさんはよいベースをお持ちですね。僕はジャガースケールさんほどベースに詳しくありませんので、残念ながらそれに関して意見を言えずにすみません。
機会あればいろんなタイプのベースを聴き比べてみようと思います。
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ST Rocker

Author:ST Rocker
ビートルズ解析ブログへようこそ!
つくば-千葉-さいたま の三角形を行き来していますす。
モットー:理系なのに熱く音楽、政治・経済を語る。
酒と冒険と音楽をこの上なく愛し波乱万丈の人生を送るB型です。
コメントは本筋に沿ったものをお願いします。

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