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料理を科学する(その4)・・・革命のカレー作り

みなさまこんばんは。
ついに夢の10連休もあと数時間で終わりです。
みなさま最後のあがきでいかがお過ごしですか?

今回の記事の要約
・なぜ料理を科学するのかについて改めてしっかり書いてみた。
・従来の家庭料理に革命を与えるであろう方の考えと、それに基づく一例としてカレーを作ってみた。
(前置きが長いです)
-----------------------
えっ、「料理を科学する」ですって? しかも「その4」て??
首を傾げた方も多いでしょう。

はい、あったんですね、こんなシリーズが。
でも、前回の「その3」はなんと2014年9月19日。
もう5年近くもサボってましたシリーズです。

僕は料理は嫌いではありません。けど、忙しくてなかなかできません。

化学をやっている人間(僕もそのはしくれです)は、料理が好きな人が多いです。
原料に対して、混合、加熱、希釈、濃縮、抽出、熟成、照射などの操作を行い、材料の加工や化学反応などを行わせしめるという点において、料理と化学は共通する部分が多いです。
よい料理を作るためにどんな方法を採るのかに頭を巡らせ、よい料理ができた時の喜びは化学の喜びに似ています。

ただし料理は、化学とは言っても、たんぱく質やセルロースの加工や変成が主ですので、化学の中でも高分子材料加工やエイジング試験のような感じです。

料理において重要な要素は、化学と同じく、温度、時間、圧力です。
ふつうの人が料理を習ったり研究したりするのと同じように僕らがやってもつまらないので、うまい料理というのは化学的に何が起きており、そしてそのためにはどんな操作をしないといけないのか、ということを化学者目線で考えられないか、というのがこのシリーズの目的です。
単にこじつけではなく、ふつうの料理道では得られないような新しい考え方ができるのが夢です。

僕がこの発想をもったきっかけがあります。
糸川英夫さんをご存知ですか?
戦前は中島飛行機で飛行機の設計をし、戦後はロケットを開発した人です。
発想の転換として有名な方です。
僕の人生において、若い頃に大変影響を受けた人です。
そんな糸川さんは、バイオリンの名器であるストラディバリウスのようなよい音を発するバイオリンを、科学の力でもっとずっと短時間に、そして安価にできないものかと。
糸川さんは、ストラディバリウスが何百年もかけてボディーが経験した「こと」を短時間でやれる方法を思い付きました。

材料には加速試験という考え方があります。
材料の種類や用途により、その材料が使用開始後に曝される環境の条件や変化や時間は様々です。
仮に、自動車用の部品の材料を開発したとして、その材料は真冬でも真夏でも、そして湿度がいろんな条件でも、変化する中で、例えば15年という期間をスペック内の性能を保つ必要があるとします。
15年かけてテストすればいいですが、通常そんな時間はかけられません。
そこで加速試験です。
実際の使用条件よりも低温、高温、湿度などを大きく振って過酷な条件に試験片を晒し、実際の使用条件15年に相当する試験時間、例えば1,000時間のような、を割り出します。
これを「エイジング試験」とも呼びます。
これにより、開発者は短期に、しかもコストを下げて材料の耐久性を判断できます。

糸川さんは、ストラディバリウスが何百年かかけて音色がよくなっていくことを、バイオリンのボディーを構成する木や、使用されているニカワや接着剤その他の成分がエイジングされたことだと考えました。
この場合、上記した自動車材料の場合とは逆で、劣化とは言わず、人間にとっては好ましい変化であります。
劣化なのか、好ましいことなのかは、人間の主観により変わることであり、要するに、材料が環境の変化により長時間かけて何らかの変化が起きた(=エイジングされた)わけです。

そこで糸川さんは、これを普通のバイオリンに対し加速試験を施せば、短時間でストラディバリウスと同等の音が出るのではないかと考えたのです。
糸川さんが注目したのは、熱と振動でした。
これらの条件を何通りも試して、ようやく目的を達したのでした。
科学者の手により、たかが1ヶ月?(詳しい時間は忘れました)で低コストで、ストラディバリウス並みの音を出せたのです。
このことは糸川さんの著書「80歳のアリア」に詳しく書いてあります。

僕は、料理にもきっとこんな革命が起こり得るのだろうな、と考えてきたのです。

料理において重要な要素が温度、時間、圧力であるとするなら、これらを検討することにより、今までなかった料理法で、しかも短時間で低コストで美味しい料理を作ることができるはずです。
世の中には既に革命的なことが達成されている部分もあります。

食材を加熱する方法として、太古から直火による加熱は行われ、炭火等による赤外線による加熱も既に歴史が長いです。
そんな中、近代に現れたのが電子レンジです。
あらゆる食材や料理が、ごく短時間のうちに、しかも超手軽に加熱できます。
加熱の仕組みは、食材中に存在する水の分子が、マイクロ波(ギガヘルツというとても速い電気的振動)により、あっちへ向いたりこっちへ向いたりを繰り返すために、その摩擦熱で温まります。

しかし僕は、必ずしも電子レンジで温めた料理は好きとは限りません。
おそらくは、電子レンジというのは食材をエイジングさせているのではなく、ただ温度を高めるだけだからだろう。だから調理とは呼べないでしょう。

よって、料理における科学的な革命とは、たんぱく質ないしセルロースを焼く、煮る、揚げる、などにおいて時間的、コスト的に飛躍的なことを見出すことにありましょう。
最近のBSのショッピング番組でやっている、圧力容器に具材だけ入れて調理する器具は、なんとなくいかがわしいですが、あれもその一環でしょう。
圧力が上がると基本は温度や時間は短くて済みます。しかし、そのために具体的なレシピを開発しないといけないでしょう。

以上、前置きでした。大変長くなってしまい、失礼しましたm(__)m

さて、そんな僕的な関心の体制の中に飛び込んできたのが、柳沢英子さんです。
今年1月19日の「世界一受けたい授業」でした。
最近のテレビは大衆に物を考えなくさせている、と先日書きました。しかし、ならばテレビをなくしネットだけでいいとは全く思いません。
テレビは必要ですので、問題点を解決するほうに注意を向けるべきと思います。

柳沢さんの発想は、これまでの家庭料理というのは、業務用の料理と同じやり方をしてきてしまったので、余計な油、余計な水、余計な加熱、余計な煮込み...などをしてしまっているし、そしてだからこそ失敗も多かった、というものです。
そして、これからは”コールドスタート”と少ない媒体で調理する、という考えです。

例えば、から揚げを作る時は、これまでは業務用と同じように大量の油の中で鶏肉を揚げていたものを、表面にわずかの油を膜ができる程度にフライパンの上で焼くだけ、とか。
これまで、肉を強火で焼いたり、玉ねぎを飴色になるまで炒めたり、何時間も煮込むようなカレーを、全ての食材をコールドスタートさせ(油も上からかけ)、フタ付きのフライパンで短時間煮るのみ、とか。

僕が先ほど書きましたエイジングの理屈から言えば、うまいから揚げなりカレーができるには、たんぱく質やセルロースがそれなりに変化を起さないといけないので、必要な熱履歴を与えなくてはいけません。
おそらくは、これまでのような油や水を大量に使い長時間調理するやり方は、エイジングの効率が悪かったのかもしれません。

考えてみれば、化学の実験においても、何かの反応とか加工を起させる場合に、どのくらいのスケール(量的な規模のこと)でやるかによって、加熱の方式が違ってきます。
例えば、何十キロも作る場合は反応容器をジャケットで巻かないとだめだけど、数グラムの場合はホットプレート上でできるとか。
あと、場合により圧力を高めて調理時間を短縮したりとか。

少なくとも言えるのは、業者の調理法と家庭料理の調理法が同じである必要はなさそうですね。
その意味で、家庭料理への革命を与えている柳沢さんには敬服します。

柳沢さんの発想は、最近の中では久々に超ワクワクしました。
早く自分でも作ってみたかったのですが、忙しくてなかなかできませんでした。

さて、そのカレーですが、先ほど作りました。
結果、オーライです。
ただし、従来法カレーと全くイコールではありません。
野菜や肉が、形を保ったまま柔らかいのです。
歯応えがあって、かつ、柔らかいのです。

フタをして煮るので、内部は圧がかかるので、弱火ではあっても、思ったよりも調理が進んだようでした。
炒めたりかき混ぜたりせず、弱火で煮るだけです。
全工程20分。

少なくとも、下手にできたカレーよりはうまかったでした。

今回は柳澤さんの紹介に過ぎず、それに対して考察を加えただけでした。
そのうちに、オリジナルのアイデアで料理に科学してみたいと思います。
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テーマ : 料理
ジャンル : 趣味・実用

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Author:ST Rocker
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酒と冒険と音楽をこの上なく愛し波乱万丈の人生を送るB型です。
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