FC2ブログ

ビートルズ解析例 その4

- 我が青春のギター -


私の人生において大いに嗜んだ楽器ギター

ギターは、これまでの私の人生において嗜んだ楽器の1つであり大きなものを占めている。順番から言えばピアノより後にいじり始めたのだが、多分ピアノ以上に長い時間いじってきたと思う。ピアノやベース同様、ギターにおいてもビートルズとの関わりが一番多くなる。
しかし、残念ながら、ギターにおいてはピアノ、ベースあるいは「東京公演の謎」のような独自の観点から解析を試みるのは容易ではない。ロックの世界においては言うまでもなくギターの愛好家が一番多く、ビートルズはじめ多くの一流アーティストのギターに関しての解析や論評は大変多く、そしてユニークな視点のものも多く見られる。それでも約30年、ギターとの付き合いの中で生まれた想いを描いてみたくなった。

まず、大前提として本稿で言うギターとはフォークギターまたはエレキギターである。クラシックギターは除外する。「オイオイ、除外するなよ」との声も聞こえそうではあるが勘弁を。クラシックギターはそれはそれですごい世界があることは知っているが、コードストロークやチョーキングと言った「脊髄の痺れる」感覚をここでは優先しますんで、クラシックギターの世界はまた別途機会かあれば、ということでご勘弁を。

日本のフォークソングは?

次に、私は1970年代に流行った日本の「フォーク」にはそれほどなじめなかった。理由はいくつかあるが、最大の理由は、音楽よりも精神世界を優先していたから。いっそのこと「詩に少し音楽が付いている」と思えばよい(と言ったら大変なお叱りを受けることはよくわかっている)。音楽だけで評価するには、まず第一にマイナーコードが多すぎるし、全体が単調過ぎる。もし詩の内容を鑑賞しないとしたら音楽だけでは成立しそうにもない。
しかし、かくいう私だってそれなりには傾倒した。特に大学のサークルなどでは仲間が集まれば必ずフォークギター1本で夜通し歌い込んで意識を共有することができたし、心のよりどころにしていていた部分も少しあった。
それともう1つの重要な点は、日本語は音符に乗りにくいのだ。日本語は1音1音節だから、1つのオタマジャクシにカナ1文字しか乗らない。非常に間が抜けてしまうのだ。それに比して英語のよくできた歌詞は重厚である。「韻」という歌にとって重要な技も英語に軍配が上がる。日本の優れた詩がうまく乗れるような新しい音楽はないものであろうか?

一生の持ち物ヤマハギターを買う

ピアノの章で述べたように、私は中学生の時にロックに開眼しピアノをいじるようになった。しかしロックの中心はギターだし、日本でも70年代初期はギターの人気が高まっていた。例えば、あこがれの浅田美代子がギター片手に「赤い風船」などを弾いているのは全てのヤングジェネレーションの憧れだった。要するに、当時の少年少女の平均的な憧れの多分にもれず私もギターが欲しくなった。
高校1年、15歳の時、親のスネをかじってフォークギターを買った。浦和の柏屋楽器店でヤマハの13,000円のフォークギターを買った。当時(今でもそうかどうか知らないが)ヤマハのギターの品番の数字の部分は価格を表していた。少しギターを知る人間の間では有名な事実である。サウンドホールの奥にシールが張ってあり品番がプリントされている。だから、私は、マジックで「3」を「8」に書き換え、そして0(ゼロ)を1つ付け加えた。
結局、このギターはいい買い物であった。31年たった今でもネックは反っていないし、正しいチューニングができる。上の娘に貸したつもりがいつの間にか娘のものになってしまったようだが、要は2世代使える代物だった。

ギターの楽しみ方

一口にギターと言ってもどういう楽しみ方があるのか。それは千差万別である。まずはフォークかロックか? アコースティックかエレキか? サイドかリードか? この問いは愚問といえば愚問である。自分でいろいろ試行錯誤しながら探すべきものだ。
ただ、敢えて一点言うなら、ロック系のリードギターを目指すなら早いうちからそれを念頭において精進するべきだ。ロック系のリードギターには独特のテクニックがある。そして私はそれはできなかった。
私は、一時、S&G(サイモンとガーファンクル)に凝ってフォーク系に行こうとしたことがあった。しかしやめてしまった。やっぱりなんとなく暗いと思ったのである。
ロックの脊髄への響き、英語の韻、そんなことから欧米系のロック、なかでもビートルズに傾倒することになった。

ビートルズのギタリスト達

私がギターを買った1973年は、ビートルズは既に解散していた。いろんなプログレシブロック系が台頭しており、優れたギターテクニックをもつバンドが見られた。エレキギターのポテンシャル能力を引き出すようなハイテクを披露するようなギタリストもどんどん出てきた。
そんな中で、ビートルズははっきり言って、エレキギターエリートではない。
新進気鋭の「エレキバンド」としてセンセーショナルに登場しておきながら、その実態はエレキエリートではない。
なにしろまずその楽器の選択だ。リンゴ・スターがラディックの一流ドラムスを選んだ以外はエレキエリートとは質を異にしていた。
ジョンのリッケンバッカーのショートスケールのギター。手が小さい訳でもないのに、ショートスケールを選んだおかげでサウンドは随分犠牲になっている。ポールのカールヘフナー500-1。これもショートスケールでホロボディ。ステージワーク重視で選んだものと思われるが、これもサウンドへのマイナス効果大。そしてジョージのグレッチ社製大型セミアコギター「カントリージェントルマン」。弾くためのテクニック的制約といい、サウンド的制約といい、かなりのものがある。後期でこそジョージはソリッドギターを持ちリードギタリストとして巻き返すが、前期のジョージのギターの多くは私でも弾けてしまうことから、真のリードギターとは言い難い(失礼!)。
エレキバンドでありながらエレキバンドらしくないビートルズ。類稀なる音楽センスをもってして、独特のコード進行・コーラス、詩の内容などをもって世界を席捲したというのが私の理解である。

ビートルズギターのアイディア

ビートルズの音楽は、私ごときの一介の愛好家がテクニック的にはコピーしうる範囲での、アイデアの創出とその組み合わせにその真髄があるものと思われる。ジョージのギターは素晴らしいものが多いが、リードギターとして超スゴイものはあまりない(と言っては失礼か?)。私レベルの技術で真似できてしまうフレーズが多い。難しくはないが、果たして思いつくかといえば難しい、つまりコロンブズの卵的good ideaが多い。
ジョージにおいては、解散後の"Living in the Material World"のようなソロアルバムでその才能が開花したと言っていいのではないだろうか。これらのアルバムでのジョージのアイデアや技術には本当に敬服する。

結局私にとってのビートルズギターとの関わりは

結局私のギター人生の中で主体的興味を持ったのは、ジョンのサイドギターとコーラスグループとしての和音を重視した曲の進行と構成、そしてポールによるあくなきサウンドへの追究、そんなところであろうか。ディープ・パープル、レッド・ツェッペリンといったハードロックエリートのギターを少しかじったこともあったが、頓挫した。演奏可能、素晴らしいコーラス、社会的現象、音楽的ウィットという点でジョン・レノンギターに傾倒することになった。前述したように、ジョン・レノンのギターは、それ単独でとりわけ取り沙汰されるというギターではない。しかしそうは言いながら、かなり優れたサイドギタリストと言えると思う。まずは、作曲家としてのコード進行やコーラスの付け方は絶品であることは、既に種々メディアで十分言い尽くされている。それプラス、サイドギタリストとしての旨みが磨きをかけている。言葉で表すのは難しいが、表現力豊かである。例えば、"She's A Woman"。わりと単調なA7、D7、E7の繰り返しだが、どのストローク一つとっても同じものはない。絶妙なストロークのタイミングとアタックの妙、ミュートやスライドを駆使して、その瞬間瞬間でのテーマを最大限に表現すべく、微妙に音を変え表現している。この素敵なギターは後期の"Oh, Darling"にも片鱗を見ることができる。

ジョンの粋なサイドギターワーク

超有名なジョンのサイドギターワークとして"All My Loving"がある。例の三連符ギターだ。3拍なので、ある小節ではアップストロークから始まることになる。一見これは超難しそうだが、実はそれほどでもない。慣れればそう大したことはない。事実、私の会社でのバンドはこの曲を演り、私が「3連符ギター」を弾きながらヴォーカルをとった。これもコロンブスの卵だ。テクニックというより、こういう超素敵な弾き方を思いついたことに賞賛を与えたい。むしろこの曲での見せ場は、三連符のところ以上に、"All my loving, I will send to you.."というサビの部分でのジョンのサイドギダー。言葉では言い難いが、歌い手のことを最大限に引き出すべく演出したギターだ。
"Help"のサイドギターも同様の意味合いから、とても表情豊かなものだ。

感動的なLIB屋上シーン

ジョンの素晴らしいサイドギターは挙げればキリがないが、ひとつ印象的なのが映画LIB("Let It Be")でのアップルビル屋上での演奏シーンだ。寒風吹きすさぶ1969-1-30のロンドン。手がかじかむ中、長髪、丸メガネ、毛皮のコートで現れたジョンの姿だけでも印象的だ。1966年の東京公演の頃から使い始めたセミアコ型エピフォン製「カジノ」で演奏した。カジノのボディの塗装を剥しナチュラル加工を施したものを使った。やや篭り加減のサウンドコントロールで織り成すジョンのカジノの音は、まさに69年当時のビートルズの雰囲気を醸し出すに丁度よかったし、屋上で演奏した曲にとてもピッタリだった。

屋上セッションでのテクニックは

映画を目を凝らしてみた限りではジョンはあまり高度なテクニックは使っていなく、比較的シンプルなコードストロークが多かった。しかもローポジションのコードも多用していた。それでいてとても深みがあり表情豊かに聴こえるのは何故だろう。一つびっくりしたのは、ストローク時の右手の振れが、ほぼ手首より先だけだったこと。つまり、肘を支点ではなく、腕は固定し手首を支点にストロークする。こんなに手首の柔らかい人間は見たことがない。しかし、ジョンは昔からそうだったか? 前期のフィルムを観ると、確かに手首奏法的ではあったがLIBほどではないようだ。

やるせない響き"Dig A Pony"

"Dig A Pony"のサイドギターも絶品だ。中でも、"Well, you can celebrate anything you want."というところ。世にも珍しい7連符を唄った後の"want"の部分。単にBmの普通のフォームを押さえているだけなのだが、メチャやるせなく聴こえるから不思議なものだ。手首奏法と関係があるのだろうか? ちなみにこの曲の演奏時、ジョンは歌詞を書いたメモをスタッフに見せてもらいながら歌っていた。もともと歌詞を忘れやすいジョン。東京公演でも歌詞を間違いまくっていた。"Dig A Pony"においては、特に7連符の部分に難しい言葉を並べてある。番毎に言葉が違うが、どれも言葉自体にリズムがあり秀作だ。だからジョンが覚えられないのも無理がない。

ジョンの化身"Don't Let Me Down"

"Don't Let Me Down"も同様の観点から素晴らしい。これも基本は「手首奏法」でEとF#mのローポジションを弾くというシンプルなものだが、とても味わいがある。それにしてもこの曲、ジョンの愛の叫びの歌の代表的なもの。詩自体に勢いがあるし、メロディー、コード進行も素晴らしい。そしてさらに曲の魅力を倍化しているのがポールのベース。いや、倍化というより曲のイメージを決定してしまっている。だからジョンの真意にマッチしているか疑わしいとも言える。結果として私は、ジョンの曲にポールが頑張って付けたベースフレーズは大変好きだ。事実、解散後のジョンのラブメッセージには個性的なものが多いが、トータルな音楽としてはイマイチ乗り切れないものが多い。
こうして書いていくとつくづく思うが、このLIB屋上演奏シーンは、ジョンの強いラブメッセージと魅力的なサイドギター、そしてポールの抜群のベースプレイが集約されているシーンであると思う。よって、もう少し屋上演奏に関して続ける。

独特なフォーム"I've Got A Feeling"

"I've Got A Feeling"は、ベースの項でも書いたように私にとってたまらなく魅力のある曲の1つ。そしてビートルズのロックの決定版だ。キーはA。やはりギンギンのロックはなんとしてもAだ。何故か? 多分1つは、ギター的に5フレットという最もハリがあって安定した領域ということがあろうが、440Hzという人間が生まれて最初に出す声(オギャー)の周波数だからワクワクするのだろうか。この曲のキーポイントはいくつかあるが、その1つはジョンのとるAのコードのフォーム。イントロから鳴っているあの響きだ。人差し指で4弦以上を全部押さえ小指で5フレットを押さえる。そして5弦のオープン弦をベース音として弾きながら4弦以上も弾く。ローポジションとハイポジションを同時に弾くようなイカした感じになる。素晴らしい発明だ。もしこのフォームがなかったら"I've Got A Feeling"の魅力はなかったことであろう。なお、このフォームは"Dig A Pony"の主題ボーカルの部分の伴奏にも使われていて、そこでも大変いい雰囲気を醸し出している。

軽快なロックナンバー"One After 909"
"One After 909"、これは軽快なロックナンバーである。実はこの曲はジョンが62年頃のレコードデビュー前に作ったものだというから恐れ入る。50年代のロックンロールを信奉していたビートルズの面々であったが、単に同類のものを作るのではなく、後のビートルズとしての飛躍を予感させるような曲を作っていた。"Anthology 1"にその魅力的な初期版が聴ける。

圧巻の"Get Back"、そしてちょっと”トリビア”

いよいよ屋上シーンの最後のテーマは"Get Back"。この映画の本来の主題曲といってもよい。ポールの温情でジョンにリードギターを頼んだということである。 全般にAとDの繰り返しでシンプルな構成だが、飽きさせないように各所に工夫がある。ジョンのギターはこまごま動いていて忙しい。しかし演奏できないほどではない。ジョージのカットギターも絶品だ。屋上シーンの最初を飾る1曲目の"Get Back"は名演だと思う。(実はこの前に1回"Get Back"を演奏したそうだが映画ではカットされている。) ところで私はおもしろい発見をした。大学の研究室の同輩で、やはりビートルズファンの彼が言うには、「"Get Back"のジョンのギター間奏のところ、間奏が始まって2小節目の印象的なチョーキングの部分。あの音は3~1弦の11、12フレットを弾かなければ出ないはずなのに映画では5フレットあたりを弾いている。世にも不思議だ。」。この指摘を受けたのが大学院生の頃。まだビデオなどは普及しておらず真偽を確かめようもなかった。やっと確かめられたのは結婚してから。結婚して間もない頃、カミさんが誕生日プレゼントとして買ってくれたビデオLIBを観た。たしかに彼言う通り。そこで何回も目を凝らして問題部分をチェックした。そして驚くべきことに、音と映像がずれていることを発見した。11、12フレットを弾くチョーキングの部分の映像が音よりも2小節先んじている。間奏の部分だからそう簡単には気付かないわけだが、いやしくもビートルズの映画を作るプロがそんなことでいいのだろうか。Eさん曰く、「トリビアの泉に応募したら?」。なるほど。

ユニークかつ偉大な奏法"I Feel Fine"

表情豊かなジョンのサイドギターだが、それプラス非常にユニークなアイデアがあるのが、64年の"I Feel Fine"である。バレーコードを押さえてカッティングしながら、中指~小指を少しずつ動かしてメロディーを加えるというもの。カットギター(コードストローク)とリードギター(のさわり)を掛け合わせたような奏法であり、聴いていても心地よい。このアイデアは素晴らしいと思うが、人差し指を常にバレー状態にしている制約からか、この曲以外のメロディーはあまり生まれそうにない。事実この曲以外でこの類の奏法をお目にかかったことはないような気がする。ジョンとジョージは二人でこの奏法で弾く。ただし二人の間の奏法は微妙に変えて演奏している。G-C-Dの進行だが、問題はG。3フレットベースなので、小指をものすごく開かなくては弾けない。ジョンとジョージはかなり手がデカいので、そう無理なく弾ける。ちなみに、ジョージの手の大きさはアルバム"Living In The Material World"のレコードジャケットで確認できる。しかし今やCD時代だから無理か。

アイディアの宝庫であり名曲の"If I Fell"

もう一つ印象的な曲として64年のアルバム"A Hard Day's Night"にフィーチャーされている"If I Fell"を挙げたい。イントロとはいえないほど存在感のあるイントロにおける不思議なコード進行と不思議なボーカルメロディ。おそらくジョンはギターのあらゆるコードを試しながら常識をくつがえす進行を狙っていたに違いない。そしてメインメロとサビは、イントロの緊張を解除すべく安定した進行。しかしそれでいて奥の深い二部合唱。作曲家としてのセンスも高い。

ビートルズとハーモニー

ところでビートルズがハモることについて。ビートルズはハーモニーとコーラスを非常に多彩に取り入れたバンドといえよう。そして初期から既にそのスタイルは確立していた。私は、中学生の頃ビートルズを聴き始めた頃、ハーモニーが多いことに驚いた、何故なら私にとってハーモニーとは、つならない音楽の授業のイメージがあったからだ。中学や高校の音楽の授業で二部合唱の練習をした時、例えば「花」なんかが有名だが、低音部のメロディーがなんとも暗く感じられたものだ。一種の体制への反抗、と言ったら大袈裟であろうか。おしきせの音楽教育の象徴である二部合唱には近寄りがたいものがあった。ところが、若者の先陣を切るかのビートルズがハーモニーを積極的に取り入れている。しかもそれが若者を感化せしめるに重要なファクターとなっている。やはりハーモニーは重要な音楽要素なのだ。要はモチベーションである。
二部合唱を聴く場合、大抵の場合、というか普通の人は高音部がよく聴こえる。そして高音部は確かに主役である。でも低音部がなくてはハーモニーは成りたたない。声域の関係で、ビートルズの場合、高音部=ポール、低音部=ジョン、という担当になった。とはいえ、ジョンも普通の人に比べたらキーは高い方である。そう、ポールが高過ぎるのである。声域は訓練でそう変わるものではない。天の授けである。ちなみに、私の場合、ジョンより少し高い位。つまりジョンの歌は簡単に歌えるが、ポールの歌は時々苦しくなる。それでも高校時代、練習に練習を重ね、ポールのパートも随分歌えるようになった。ジョンのパートも随分覚えてきた。基本はポールの3度下だが、単純ではなく随分いろんなバリエーションがあることがわかった。例えば、"She Loves You"。メインボーカルの"You think you've lost your love..."というところ。yourまではジョンとポールでユニゾンで歌う。そして"love"のところでで別れる。高音部のポールは明るいlove、低音部のジョンの"love"は暗い響き。そう、高校の授業の「花」の低音部を思わせる暗い響きだ。けど、憧れのビートルズだと前向きに受け入れてしまう。全く現金なものだ。
高校生当時、ビートルズの曲の数々を既に(コード的には)コピーしていた私だが、ハーモニーを何とか自分で演じてみたくなった。当時の機材といえばせいぜい内部マイク付きラジカセ。例えば、"She Loves You"など、まずジョンのパートのボーカルをサイドギター弾きながらラジカセによりカセットテープに録音し、それを再生しながら別のラジカセで、ポールのパートを歌いながらギターで(ベースがないため)ベースのパートを弾きながら別のカセットテープにダビングする、という今となっては笑ってしまうテクで「マルチプレイ」を楽しんでいた。それでもそれなりに感動したものだ。
低音部を担当していたジョンだが、唯一おもしろい例がある。Hey Jude。低音を歌っていたジョンが急遽ポールを飛び越え高音側に飛び越す瞬間がある。"...then you can start..."の"start"の部分だ。私はこれをみて思わず「猫踏んじゃった」のピアノを思い出した。低音担当の左手のピアノが、ある瞬間右手を飛び越え高音側に回る。ところでこの「猫踏んじゃった」。子供の童謡と捉えられているが、その音楽的構成はなかなかのもの。シンプルでありながら、ジャズの要素と少しだけ定石を外れる妙が感じられる。ジョンが高音でポールが低音という例外的パターンもあった。私の知る限り、アルバム"Let It Be"に収められている"Maggie Mae"だけであるが、もしかしたらその他にもあるかもしれない。
さて、ジョージ・ハリスンのハーモニーはどうか。ビートルズのハーモニーはジョンとポールによる、という先入観が強いためか、ジョージのことを忘れがちだが、実はジョージも結構ハーモニーに参加している。前期のステージの映像を観るとジョージが結構歌っている(ジョンとポールの曲においても)。私の知らない部分でハーモニーに貢献している可能性大だ。後期の名曲"Don't Let Me Down"では、ジョージのハーモニーのパートはとても難しい部分を担っている。ちょっと声の質がジョンやポールより少し劣っていたジョージだが、本当は歌唱力は一番よかったのかもしれない。

隠されたジョンの名曲

アルバム"Revolver"あたりからジョンの曲は単にポップスの域に収まらずに、独特の音楽世界、精神世界を形成している。これは進化と見るべきなのだが、実はファンは少しだけ遠のいた。"I Am The Walrus"、"Strawberry Fields Forever"といった名曲を出しながら、若干とっつきにくいこともあってか、ヒットチャートでは若干後塵を排することになった。ところで、後にこれらの曲の装飾部分を取り払ってシンプルな伴奏パートだけでこれらの曲を演奏するテイクが、"Anthology"シリーズで公開されることになった。これを聴いて私は溜飲が下がった。ああ、これらの曲は本来こんなにいい曲だったのだ、と。凝った装飾を施したことで純粋なロック的インパクトを損なった部分もあるのかもしれない、と思った。

ビートルズのベストギタリストは誰? そして私の中に占めるギタリストは?

ビートルズ時代のギターワークにおいて、ベストギタリストは誰か、と問われれば、私はポール、と言うであろう。他の章で述べたことだが、ポールは他の楽器との交わりの中でギターへの取り組みを進化させていったことが考えられる。
いわゆる「エレキギターエリート」の仲間入りの序の口に入れてもおかしくないテクニカルプレイをいくつか残している。"Another Girl"、"Ticket To Ride"、"Taxman"、"Good Morning Good Morning"などがそれだ。解散後も、70年代前半まではリードギターの名演を残した。アルバム"Ram"の"Too Many People"、74年のシングル「愛しのヘレン」(私は実は英題を知らない。当時のヒヤリングでは"Hellen Yellow Wheels"と聴こえた)を挙げたい。(ちなみにこの「愛しのヘレン」、ポールが全ての楽器を演奏している。誠にカッコいい曲だ。どこかにCDカットされていないだろうか)。 しかしポールは70年代後半にもなると大したギタープレイも聴かれなくなる。やはり刺激し合う相手がいなくなったためか。
ポールはフォークギターの名曲も残した。"Yesterday"、"Mother Nature's Sun"、"Blackbird"などなど。ポール・サイモンと比較しても決して劣らない"Mother Nature's Sun"のイカした構成。コピーできるほどシンプルな2音構成だが抜群のセンスの"Blackbird"。
ベストギタリストはポールといっても、やはり私の中で大きなものを占めるギタリストはジョンだ。
スポンサーサイト



テーマ : ビートルズ関連
ジャンル : 音楽

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

屋上セッション

こんばんは。
ジョンの手首のスナップは非常にやわらかく
驚きです。なかなか真似は難しいです。
屋上セッションでは
ゲットバック→ディグアポニー→ドントレットミーダウンと
コピーを進めていますが、アイブガッタフィーリングとワンアフター909はまだまだ時間がかかりそうです。
ST Rockerさんの記事を拝見して
勉強させてもらっています。

屋上セッション

マサジョンさん

毎度ありがとうございます。
ルーフトップのバンドでの演奏、いいですねえ。
マサジョンさんはジョンのパートですか?

私の記事も本当に正しいかどうかは??ですけど、頑張りますね。

よい演奏を期待しています。

ST Rocker(管理人)
プロフィール

ST Rocker

Author:ST Rocker
ビートルズ解析ブログへようこそ!
つくば-千葉-さいたま の三角形を行き来していますす。
モットー:理系なのに熱く音楽、政治・経済を語る。
酒と冒険と音楽をこの上なく愛し波乱万丈の人生を送るB型です。
コメントは本筋に沿ったものをお願いします。

最新記事
最新コメント
カテゴリ
FC2カウンター
Number of visitors
リンク
RSSリンクの表示
検索フォーム
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

月別アーカイブ
最新トラックバック
QRコード
QRコード