料理を科学する(その1: 加熱・冷凍編)
みなさまこんばんは。
今日も少しは暖かい感じでしたが、またしっかり寒くなるようです。
そして水曜には関東では降雪が予想されています。
危機管理ですね。
昨日はお陰様で、1日の訪問者数が過去最高を記録しました。
これまでの記録をいきなり10人も更新です。
ありがとうございました!
さて今日は「料理を科学する」の第1回目です。
↓
今日も少しは暖かい感じでしたが、またしっかり寒くなるようです。
そして水曜には関東では降雪が予想されています。
危機管理ですね。
昨日はお陰様で、1日の訪問者数が過去最高を記録しました。
これまでの記録をいきなり10人も更新です。
ありがとうございました!
さて今日は「料理を科学する」の第1回目です。
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当ブログの一つの目玉であり、そして私のライフワークにしたいのが「学問の融合」です。
とりわけ、理科系の考え方の切り口を従来文科系として考えられていた学問と融合させるとどうなるか、について大きなフォーカスをしています。
例えば、理科系的に音楽を捉えるとどうなるか、政治の世界、心理学の世界、歴史の世界に理科系的考えを導入したらどうなるかを考えています。
メンタルヘルスと工学を融合させた「精神工学」という言葉も造りました。
「理科系的考え方の導入」といっても、しごく当然の考え方ともいえます。
その考え方の骨子が「定量性」と「論証」です。
この2つの考え方の柱は、既に純粋な科学や工学の世界では常識として採り入れられていますが、これを「文科系的」な学問や事柄にも導入しようというものです。
ただ、全てを論理的に押しまくるのではなく、従来大事にされてきた「感性」の部分は尊重しつつ、定量性、論証性により改善を図るというものです。
前置きが長くなりましたが、さあ料理です。
私はベースが化学屋ですので、基本は料理が好きです。
多くの化学屋はそうではないでしょうか。
料理と化学実験の考え方は基本はほぼ同じです。
即ち、起こす事象は、加熱処理、タンパク質の変性・加工、表面処理、液体の浸透、添加剤の投入、冷凍などであり、
処理において考えるべきパラメーターは温度、圧力、電磁力、体積、水の相の変化、浸透圧、モル沸点上昇、比熱、体積膨張などです。
どんな原料を仕込み、どのような添加剤を入れ、どのような条件下で処理をしていくか、がレシピであり、それは料理も化学実験も一緒です。
ただ、化学実験ように大規模な化学反応は料理にはありません。
でも、高圧下の処理や高周波での処理も料理にはあり、特殊な化学的処理と共通することも多いのです。
それで、今日は「料理を科学する」の第1回目ですので、料理の基本である「加熱・冷凍」について科学してみます。
料理は「化学」と共通すると書きましたが、「加熱・冷凍」はどちらかというと「科学」(化学の基本)です。
料理において素材を加熱するには、主に焼く、煮る、蒸すの3種があります。
人間は太古から火を用い、直火を中心にこれらの調理法を使ってきました。
今日は、煮る・蒸すはちょっと置いておいて、「焼く」について考えてみましょう。
焼く、すなわち直火にかざすことのメカニズムをご存じですか?
焼くというのは実は空気が熱せられて、その空気の熱が素材を熱することです。
つまり、素材の表面からどんどん熱を供給するのです。
するとまずは素材の表面のたんぱく質(肉や魚であれば)やセルロース(野菜であれば)や水分が熱せられます。
そして次第に一部焦げて、内部にも熱が伝わって行きます。
タンパク質は適度に変性し分解し食べやすくなるとともに、旨味成分(イノシン酸等)もほどよく分離してきて味が出てきます。
では炭火焼はどうでしょうか?
炭からももちろん熱が出て、直火で焼くのと同じメカニズムでも焼けます。
でも、炭からは赤外線が出ているので別のメカニズムで加熱できるのです。
赤外線というのは目に見えない光です。
可視光は0.4~0.7ミクロンの波長の領域の光ですが、赤外性の波長は0.7ミクロン以上です。
タンパク質などの有機物は(実は無機物も)、分子の構造の一部を屈曲させたり振動させたりするのに、ちょうど赤外線領域のエネルギーを吸収してそのような動きをします。
従って赤外線を素材に当てると、これらの動きが起こり発熱します。
これが炭で素材が加熱されるメカニズムです。
外から空気で熱せられるのではなく、自らの運動により発熱するのです。
発熱が進むとタンパク質は分解もします。
だから、内部も外部も等しく熱せられるので、素材全体が暖まるため、あのおいしい焼き鳥が焼けるのです。
お次は電子レンジ。
これは前にも書きました。
ギガヘルツ(1秒間に10億回以上の振動)領域の高周波を素材に当てます。
すると素材の中の水分が電場のプラスマイナスがこの振動で反転するのにつれられて、水分子も振動するのです。
その摩擦熱で素材が加熱されます。
素材のタンパク質はほとんど変化していなく、しかも素材の中の水分が等しく振動するのです。
だから、あの妙な加熱感ですね。
生の味なのに全体がアッチッチ。
みなさんは電子レンジの味好きですか?
私はどうもあまり得意でないです。
ただ、揚げ物の再加熱のように、既に十分調理したものを温めるだけならいいかもしれません。
しかしそれにしても、その調理を終えた直後の状態が反映されるわけではないので、やはり不自然な状態です。
では次は冷凍のお話しです。
冷凍は加熱ほどの芸当はできません。
しかし最近、高周波(周波数は不明)を当てながら冷凍、解凍する技術が出てきました。
ご存じのように、水が氷になる際、体積が膨張します。
ジュースや水割りに氷を浮かべると浮きますよね。氷の方が密度が小さい(膨張したので)からです。
でもこれって、物質の中では超珍しいんです。
ほとんどの物質は凍る時に体積は収縮します。
この現象により、肉や魚を冷凍させる時、中の水分が凍る際膨張して、細胞壁を壊してしまうんです。
すると、解凍する際に旨味成分が流出してしまうんです。
これを防ぐために、冷凍する際に高周波を当てると水は「過冷却状態」(0℃以下なのに液体)になります。
そして極低温下で一気に氷にします。
すごく低温での氷の体積はあまり大きくないので、通常の冷凍庫で凍らせるような体積膨張は起きません。
解凍時も高周波を当てます。
すると、解凍された肉や魚は、生きていた時と同じ状態が再現されるので、生と同じ味というわけです。
最近、内陸地方でも漁場とほぼ同じさしみが食べられるようになったと思いませんか?
ただしコストがかかるので、どうしても少し高くなってしまいますが。
では今回はこれでおしまい。
当ブログの一つの目玉であり、そして私のライフワークにしたいのが「学問の融合」です。
とりわけ、理科系の考え方の切り口を従来文科系として考えられていた学問と融合させるとどうなるか、について大きなフォーカスをしています。
例えば、理科系的に音楽を捉えるとどうなるか、政治の世界、心理学の世界、歴史の世界に理科系的考えを導入したらどうなるかを考えています。
メンタルヘルスと工学を融合させた「精神工学」という言葉も造りました。
「理科系的考え方の導入」といっても、しごく当然の考え方ともいえます。
その考え方の骨子が「定量性」と「論証」です。
この2つの考え方の柱は、既に純粋な科学や工学の世界では常識として採り入れられていますが、これを「文科系的」な学問や事柄にも導入しようというものです。
ただ、全てを論理的に押しまくるのではなく、従来大事にされてきた「感性」の部分は尊重しつつ、定量性、論証性により改善を図るというものです。
前置きが長くなりましたが、さあ料理です。
私はベースが化学屋ですので、基本は料理が好きです。
多くの化学屋はそうではないでしょうか。
料理と化学実験の考え方は基本はほぼ同じです。
即ち、起こす事象は、加熱処理、タンパク質の変性・加工、表面処理、液体の浸透、添加剤の投入、冷凍などであり、
処理において考えるべきパラメーターは温度、圧力、電磁力、体積、水の相の変化、浸透圧、モル沸点上昇、比熱、体積膨張などです。
どんな原料を仕込み、どのような添加剤を入れ、どのような条件下で処理をしていくか、がレシピであり、それは料理も化学実験も一緒です。
ただ、化学実験ように大規模な化学反応は料理にはありません。
でも、高圧下の処理や高周波での処理も料理にはあり、特殊な化学的処理と共通することも多いのです。
それで、今日は「料理を科学する」の第1回目ですので、料理の基本である「加熱・冷凍」について科学してみます。
料理は「化学」と共通すると書きましたが、「加熱・冷凍」はどちらかというと「科学」(化学の基本)です。
料理において素材を加熱するには、主に焼く、煮る、蒸すの3種があります。
人間は太古から火を用い、直火を中心にこれらの調理法を使ってきました。
今日は、煮る・蒸すはちょっと置いておいて、「焼く」について考えてみましょう。
焼く、すなわち直火にかざすことのメカニズムをご存じですか?
焼くというのは実は空気が熱せられて、その空気の熱が素材を熱することです。
つまり、素材の表面からどんどん熱を供給するのです。
するとまずは素材の表面のたんぱく質(肉や魚であれば)やセルロース(野菜であれば)や水分が熱せられます。
そして次第に一部焦げて、内部にも熱が伝わって行きます。
タンパク質は適度に変性し分解し食べやすくなるとともに、旨味成分(イノシン酸等)もほどよく分離してきて味が出てきます。
では炭火焼はどうでしょうか?
炭からももちろん熱が出て、直火で焼くのと同じメカニズムでも焼けます。
でも、炭からは赤外線が出ているので別のメカニズムで加熱できるのです。
赤外線というのは目に見えない光です。
可視光は0.4~0.7ミクロンの波長の領域の光ですが、赤外性の波長は0.7ミクロン以上です。
タンパク質などの有機物は(実は無機物も)、分子の構造の一部を屈曲させたり振動させたりするのに、ちょうど赤外線領域のエネルギーを吸収してそのような動きをします。
従って赤外線を素材に当てると、これらの動きが起こり発熱します。
これが炭で素材が加熱されるメカニズムです。
外から空気で熱せられるのではなく、自らの運動により発熱するのです。
発熱が進むとタンパク質は分解もします。
だから、内部も外部も等しく熱せられるので、素材全体が暖まるため、あのおいしい焼き鳥が焼けるのです。
お次は電子レンジ。
これは前にも書きました。
ギガヘルツ(1秒間に10億回以上の振動)領域の高周波を素材に当てます。
すると素材の中の水分が電場のプラスマイナスがこの振動で反転するのにつれられて、水分子も振動するのです。
その摩擦熱で素材が加熱されます。
素材のタンパク質はほとんど変化していなく、しかも素材の中の水分が等しく振動するのです。
だから、あの妙な加熱感ですね。
生の味なのに全体がアッチッチ。
みなさんは電子レンジの味好きですか?
私はどうもあまり得意でないです。
ただ、揚げ物の再加熱のように、既に十分調理したものを温めるだけならいいかもしれません。
しかしそれにしても、その調理を終えた直後の状態が反映されるわけではないので、やはり不自然な状態です。
では次は冷凍のお話しです。
冷凍は加熱ほどの芸当はできません。
しかし最近、高周波(周波数は不明)を当てながら冷凍、解凍する技術が出てきました。
ご存じのように、水が氷になる際、体積が膨張します。
ジュースや水割りに氷を浮かべると浮きますよね。氷の方が密度が小さい(膨張したので)からです。
でもこれって、物質の中では超珍しいんです。
ほとんどの物質は凍る時に体積は収縮します。
この現象により、肉や魚を冷凍させる時、中の水分が凍る際膨張して、細胞壁を壊してしまうんです。
すると、解凍する際に旨味成分が流出してしまうんです。
これを防ぐために、冷凍する際に高周波を当てると水は「過冷却状態」(0℃以下なのに液体)になります。
そして極低温下で一気に氷にします。
すごく低温での氷の体積はあまり大きくないので、通常の冷凍庫で凍らせるような体積膨張は起きません。
解凍時も高周波を当てます。
すると、解凍された肉や魚は、生きていた時と同じ状態が再現されるので、生と同じ味というわけです。
最近、内陸地方でも漁場とほぼ同じさしみが食べられるようになったと思いませんか?
ただしコストがかかるので、どうしても少し高くなってしまいますが。
では今回はこれでおしまい。
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