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ビートルズ解析例 その6

- SGTを斬る(その1) -

Sgt. Pepper's Lonley Hearts Club Band(以下SGTと略す)はビートルズ最高傑作のアルバム、あるいはロック界最高傑作と言われている。

では何故最高傑作なのか?
よく言われるのが、「初のトータルコンセプトアルバム」ということ。
そして時々言われるにが、「実験音楽の極致のアルバム」ということ。
しかし何故かそれ以上の説明をあまり聞いたことがない。

私の感覚では「最高傑作」というよりも、何か「格上の」音楽が集まっているように聴こえる。
1曲1曲を取り上げてみると、She's Leaving HomeとWhen I'm Sixty-fourを除けば変な曲であり、特に美しいメロディーというわけではない。
もっと美しいメロディーを持ち、いわゆる「傑作」と呼べそうな曲はSGT以外のアルバムにも一杯ある、いやそれどころか他のアルバムの方が傑作メロディーの曲は多いかもしれない。
だが、全体として格上の音楽のように聴こえる。この矛盾が私の本章の基本的疑問である。

まず、「トータルコンセプト」のアルバムはそんなに素晴らしいことなのか。どうも疑問を感じる。
そもそもロックを聴く人間がオペラのような物語を求めているか、である。私は求めていないと思う。
それよりは、ハードロックとソフトロック、バラード、前衛曲などを適度に織り込んで全体のバランスを重んじることの方が重要に思える。
この点ではSGTは素晴らしい。

次に、実験室の音楽の極致かどうか。
音の作り以前の問題として、変拍子や転調、オケの使用や装飾音の多用というアイデアの問題。
アイデアは多いと思う。だから独特の雰囲気を醸し出している。
しかし、音の作りそのものはそれほど実験室の極致というほどではないと思う。
音の実験はむしろReVolverなどで66年にピークを迎えていたと思う。

今日仕事帰りの電車の中でSGTを聴きながら一つ非常に大きな特徴を見出した。
実は、ベースの音選び(あるいは音作り)に秘密がありそうなのだ。
今日考えに至ったのは、ある曲が「普通」に聴こえるか「格上」に聴こえるかの違いは、ベースにある、ということである。

もしベースの音選びがルート音(例えばAのコードの部分ならラの音)、または5度の音だけを刻むような、しかもオーソドックスなリズムで刻む場合は「普通」に聴こえる。しかし、ベース自体が独特のメロディを持っている場合は「格上」に聴こえる、というのが今日の私の仮説である。

SGTの全曲を見てみよう。独自のベースメロディーがある曲を○、オーソドックスなベースを×とする。
Sgt. Pepper's Lonley Hearts Club Band = ○、With A Little Help From My Friends = ○、Lucy In The Sky With Diamonds = ○、Getting Better = ○、Fixing A Hole = ○、She's Leaving Home = ×、Being For The Benefit Of Mr. Kite = ○、Within You Without You = ○、When I'm Sixty Four = ×、Lovely Rita = ○、Good Morning Good Morning = ○、Sgt. Pepper's Lonley Hearts Club Band (Reprise) = ×、A Day In the Life = ○。

このように、13曲中、10曲もが独特のメロディーをもつベースである。そしてこのことが曲を格上に聴こえさせているように思える。
そして、これらの曲をもしオーソドックスなベースでのアレンジを想像して聴いてみたところ、やはり「普通」に聴こえた。

では、SGTの1つ前のアルバムであるRevolverではどうだろうか? 同様の解析をしてみた。

Taxman = ○、Elenor Rigby = ×、I'm Only Sleeping = △、Love You To = △、Here, There And Everywhere = ×、She Said She Said = △、Good Day Sunshime = ×、And Your Bird Can Sing = ×、For No One = ○、Doctor Robert = ×、I Want To Tell You = ○、Got To Get You Into My Life = △、Tomorrow Never Knows = ×。

このように、13曲中5曲しか○がない(△を0.5曲と数える)。
このことが、名曲がたくさんありながら何となくSGTよりも格下に聴こえる理由だと考える。

さらに同じことをSGTの次のアルバムであり2枚組のThe Beatles(通称White Album)にもやってみよう。曲が多くて大変だが、頑張って解析してみる。

Back In The USSR = ×、Dear Prudence = ○、Glass Onion = ○、Ob-La-Di, Ob-La-Da = ○、Wild Honey Pie = ×、The Continuing Story Of Bungalow Bill = △、While My Guitar Gently Weeps = ◎、Happiness Is A Warm Gun = ×、Martha My Dear = ○、I'm So Tired = ×、Blackbird = ×、Piggies = ×、Rocky Racoon = ×、Don't Pass Me By = ×、Why Don't We Do It In The Road? = ×、I Will = ○、Julia = ×、Birthday = ○、Yer Blues = ○、Mother Nature's Sun = ×、Everybody's Got Something To Hide Except Me And My Monkey = ○、Sexy Sedie = △、Helter Skelter = △、Long, Long, Long = △、Revolution I = ×、Honey Pie = ×、Savoy Truffle = ○、Cry Baby Cry = ○、Revolution 9 = ×、Good Night = ×。

かなり無理な採点もあったが、概ねこんなものとお許しいただきたい。
要は、SGTに比べベースが全般に平凡であることが同意いただけると思う。
しかしそんな中、○を付けたものの中にはSGTを上回る格上曲も結構ある。特にWhile My Guitar Gently Weepsなどは二重音ベースの見事さで◎を付けた。
White Albumの中から○の曲だけを取り出して一つのアルバムにしたら、もしかしたらSGT以上の評判になったかもしれない。

同様の論法でAbbey Roadも採点すれば○の曲がたくさんある。だから格上に聴こえると考えてよいと思う。

ベースのパートを独自のメロディーで作るかどうかは、ポール一人の問題としては片付けられないと思う。しかしポールに負担が大きいのは事実だ。
White Albumの場合、正直ベースに手間をかける時間もなかったと思われる。

それにしてもSGTの場合は、ベースの奏法もきれいである。
バイオリニストが音階だけでなく音色を追究するが如く、ポールのベースは多彩な音色を見せている。リマスター版ではそれが一層際立って聴こえるような気がする。

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テーマ : ビートルズ関連
ジャンル : 音楽

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