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Coffee Break Beatles No.44 「80歳のアリア」

満員電車生活の再開です。
今日は何と行き帰りとも席を譲りました。

行きは20代前半位の会社勤め風の女性。小柄で痩せていて青白く、お疲れのようでした。
荷物も多めでした。途中から吊り革につかまったままフラフラして眠ってしまったので譲りました。
気を遣わせてしまってはいけないので、ある駅で降りる風にさりげなく譲りました。

帰りは推定70歳ちょうど位のご婦人でした。
この方に譲るべきかは相当に迷いました。
見た目は結構お若く身なりもきちんとしていて、お上品な感じ。
割としっかり立っておられまして、それほどお疲れのようでもありませんでした。
しかし、駅をいくつか過ぎるうちにその方は、私の前でポールにしっかりつかまりながら、だんだんお疲れのようでした。
10年前に亡くなったオフクロに少し似ていましたし、何より、私より20年近くも人生の先輩である方が立って私のような未だ修行中の者がふんぞり返っている道理などありようもありませんでした。
よって席をお譲りするというよりも、当然のこと先輩に座っていただかなくてはいけない気持ちになり、立ちました。するとその方はそれを察して大変ご丁寧にお礼を言ってくださいました。

私は自己美化のために席を譲っているのではありません。
席が必要な方々が優先的に座ってもらうのは当然のことですし、ご年配の方を敬えば自分が立つのも当然です。
そして、年齢に関係なく相互助け合いの精神で平等に楽をするのは合理的なことではないでしょうか。
自分もそのうちお世話になることも含めて、是非普及してほしい考えだと思っています。

さて、ビートルズの話に移りましょう。
ビートルズを解析することによりビートルズを超えた音楽を作りたい。
何とも僭越な考えかもしれませんが、当人たちが聞いたら結構喜ぶのではないでしょうか。

ところでこの考え方、以前どこかで勉強した記憶があると思っていたら、ついに思い出しました。
糸川英夫の「80歳のアリア」です。

糸川英夫先生は既に亡くなってしまいましたが、戦前は中島飛行機で名機を設計した人です。
敗戦により飛行機を作れなくなり、東大でロケットの研究開発をすることになります。
ペンシルロケットに始まり、種子島での発射設備を確立した日本ロケット界のパイオニアです。
東大定年前に退職し、「組織工学研究所」を設立しました。
「発想の転換」という考えで大変有名な先生です。

私24歳の時、初めて就職した会社で、名古屋の工場でしばらく実習のため出かける時、2歳上の姉が「この本おもしろいから持って行って読んでごらん。」というので、初めて手に取った本が糸川先生の「発想の転換」でした。
初めは「何のこっちゃ」という感じで、けったいなこと言う先生だな、と思ったのですが、読むうちにたちまち引き込まれ、その後先生の発想法には大分影響されました。
そんな糸川先生の名著の一つが「80歳のアリア」です。
バイオリンの好きな先生は名器にあこがれますが、ストラディバリウスなどの名器は途方もないくらい高額ですし、一流の音が出るまで何百年もかかります。
先生はこのことに挑戦し、科学の力で安価で短期に一流の音の出るバイオリンを作ろうと考えました。

詳細は是非本を読んでください。とてもおもしろいです。
要点を申しますと、音は長年の「エイジング(aiging)」で向上するとの仮説のもと、科学的にエイジングを与えます。
エイジングとは、長い時間をかけて温度や湿度、風などがいろいろ変化する中で物質がある状態にまで収斂していくさまを言います。
バイオリンを構成する木とか、ニカワ等の接着剤、さらにはその他構成部材が、エイジングによりその各々が、そして互いの相互作用により、バイオリンとして最高の音が出る「状態」にまで徐々に収斂するわけです。
もちろん、作製した時点での木およびその他部材の材質の選定や組み立て方が一流であることも大事な点です。

糸川先生はここで科学の発想を展開します。
材料やデバイスのエイジングにはよく「加速試験」という方法を適用します。
これは主にエラーを積極的に検出するのが目的なのですが。
新規の材料やデバイスを開発したなら、世間に製品としてリリースする前には入念なエイジングテストを経てエラーが起きないことを確認します。
しかし、いきなりエイジングテストを行うのは時間がかかり過ぎるので、不適なものを予め合理的に見出すために「加速試験」を行います。
つまり、結果的にエイジングしたのと等価なことをごく短期間で行うわけです。
典型的には、より高音や高湿の条件で行うことが多いです。

糸川先生は、バイオリンの長年のエイジングで起こることを丹念に解析し、それと等価のことをとんでもない短時間で行おうとしました。つまり加速試験です。
しかも、使用した材料はそれほど高くないものを使い、加速試験の効果で高い材料を使ったのと同じ状態にまでしよう、という発想でした。
加速試験としては、減圧オーブンにバイオリンを入れ、温度をかけ、定期的に振動を加えるといった条件だったと記憶しています。
確かせいぜい数週間か数ヶ月の期間でそれを成し遂げたように思います。

そうやって"エイジング"したバイオリン名器もどきでコンサートを開いたことまでは知っているのですが、そのコンサートがどうだったか、私はまだ知りません。
本当に糸川あっぱれ、ですね。
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テーマ : ビートルズ関連
ジャンル : 音楽

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モットー:理系なのに熱く音楽、政治・経済を語る。
酒と冒険と音楽をこの上なく愛し波乱万丈の人生を送るB型です。
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