嗚呼胃カメラ、そしてがん治療その他

みなさまこんばんは。
いよいよ台風が近づいてきました。
注意しましょう。

今日は胃カメラを受けてきました。
概ね異常はなしでしたが、少し気になるびらんがあったので、念のため組織を一部採られ検査に回りました。

今日のお話は普段よりさらに気合いを入れて書きました。
長いですので、医療に興味のない方はご注意を。
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私は胃カメラは毎年この時期に必ず受けています。もう10回目です。
最初の5回くらいは口から入れる方式でしたが、今は鼻からです。
鼻からになって相当楽になりました。
口からですと喉を異物が通る際のあの”オエーッ”が起きてしまいます。
私の場合も検査中に7、8回オエーッとなっていたので、鼻から方式はまさに福音です。

私の母は1970年代半ばに胃カメラを受けました。
あの当時はまだ管が太く、その苦しみは想像を絶するようでした。
母曰く「あんなのを受けるくらいなら病気になったほうがいい」。
初期の頃の胃カメラは人の手首ほどの太さだった、とある本に書いてありました。

内視鏡は日本が得意な分野です。主に光ファイバーの技術を利用しています。
口から方式胃カメラはオリンパス、鼻から方式はフジノン(富士フィルムグループの会社)の製品です。
鼻から入れようなんてよく考えましたよね。
確かに鼻から食道に通じる道を異物が通ってもオエとはなりません。
ただし欠点は、細いので治療のための治具を通すことができないことです。(組織をつまむための器具は通せる。)

私のように口から方式を知っている人間は鼻から方式をすごく楽だと感じます。
しかし鼻から方式だって今でも十分大変な検査であることは変わりありません。
事前に妙な薬を飲んだり、鼻や喉にまずい液体をさんざんたらされます。
オエーとならないとは言っても、そのすぐ近くを通るのでその一歩手前まではいきます。
それに、食道や胃や十二指腸を長い異物が行き来するので、全体的な違和感は大きく、やはり気色の悪い検査です。

麻酔をして胃カメラを受けることもできます。寝ているうちに検査が終わります。
楽ですけど、怖いですね。

私は大腸内視鏡ももう何度も受けました。
実は膀胱内視鏡もやったことあります。
若い頃、会社の検診で尿に潜血が出たので検査を指示されたのです。
ある大学病院の泌尿器科に行きました。
その時、若い研修医がいました。
科長のような先輩の医師がその研修医に向かってこう言ったのです。「おいおまえ、膀胱内視鏡まだやったことないだろ? やってみないか。」
つまり練習台にされたのです。
そこで、看護師さんに根元をつかまれ支持され(なんのこっちゃ(笑))、その若い研修医が悪戦苦闘して私の尿道に内視鏡を入れていく。麻酔はなしです。
異常はありませんでした。

というわけで、もはや私は、体中の穴という穴に医療器具を挿入されたことがあるわけです。
ちなみに、お臍は腹腔鏡手術の時、5つの管のうちの真ん中の管を臍に刺されました。
お臍って大事にしなきゃいけないって言われるじゃないですか。だからやたらに臍を開けちゃいけないように思いません?
だけど、臍は単なる孔ということで利用しない手はない、ということらしいです。
耳については、以前、中のほうが腫れた時に特殊なスコープで診てもらった程度です。
ところで胃カメラと大腸内視鏡って同じものを使うんでしょうかね?

閑話休題。

私が胃カメラを受けるようになったきかっけは会社の検診でひっかかったから。
そしてこの千葉の地元にとても尊敬できる先生に出会い、もう10年来胃を診てもらっています。
このように「上」(=胃)は万全の備えでしたが、「下」(=大腸)はおろそかだったので、2011年の初めに大腸がんが見つかり手術したわけです。
その先生は都内のT病院の部長さんで、大腸がんの腹腔鏡手術では指折りの名医です。

以上が私の胃腸を取り巻く環境のお話でした。
これから先はがん治療を中心にした医療のお話をします。

私の母が13年前に胃がんから全身転移した状態で見つかったことや、私自身も大腸がんになったこともあるし、
もともとがんのメカニズムや治療方針には大きな関心を持っていました。
その全体を語れば本を数冊出す自信があります。
今日はそのごく一部を紹介します。
「近藤理論」をどう考えるか、についてです。

みなさんは慶應義塾大学病院放射線科講師の近藤誠先生をご存じですか?
センセーショナルを巻き起こした「患者よ、がんと闘うな」の著者です。
ご存じない方のために近藤理論を簡単に説明します。
「がんというのは治るものは放置しておいても治る。治らないものは何をやっても治らない。最近は手術により治療成績が向上したという宣伝が多いが、どうやっても治るがんの初期の状態(『がんもどき』と称す)をわざわざ手術して「治った」と言っているに過ぎない。要は、手術してもしなくてもがんの治る確率は一緒なのだ。データがそれを証明している。むしろ手術そのもののリスクが増えるし、がんの治療そのものにストレスを感じるのでかえって健康に悪い。」
ということで近藤先生は健康診断などやったことがない、と言っています。病気の治療は自覚症状が起きてからで十分というわけです。
一部のがんのみに適用の理論ではなく、基本は全部のがんに当てはまるというのです。

近藤理論はなぜそう考えるのでしょうか。
がんの治療が難しい理由の一つは病巣がどこまで広がっているのか見た目ではわからないことです。
従って手術をしたとしても取り残しがあり得、それが再発あるいは転移する可能性があります。
あるいは手術の刺激により残ったがん細胞が活性化する場合もあるようです。
さらには、他の臓器や器官が密接している場合は病巣をうまく摘出できない点です。
そして、再発・転移のメカニズムが十分にわかっていない点です。

最初近藤理論を読んだ時に多いに興奮しましたね。
もしそれが正しいとするなら大変なことですから。
そしてこれは重要な提言だと思いました。
ではこれを全面的に信ずるのか、そうでないのか。他のがん研究に携わるお医者さんには是非きちんとカウンターを述べてほしいと思いました。

現状では、近藤理論を全面的に否定する理論は出てきていないと思います(私の知り限りではですけど)。
その代わり、一部のがんの種類ではでは近藤理論とは違う見解が出ています。

近藤先生も実は、全てのがんにいっしょくたのことを言っているのではなく、がんの種類や部位によってはある程度手術の効果がある場合もある、とは言っておられます。
でもそれは「ある程度」であり、本質は手術否定派と言えるでしょう。

で、私の場合、大腸がんが見つかったので、それをどうするか、でした。
すなわち、手術をするのかしないのか。
T病院のK先生はじめ大腸がんの名医の方々は手術派でした。かなり末期の状態でない限り手術は有効と言っています。
プラス再発防止のための抗がん剤治療。

どうするのか。
こうなると、データを見るしかありません。そしてその論拠を見るしかありません。もはやサイエンスの理解と一緒です。

そもそも、あるファクターAの効果を結論付けたいための実験は何種類かの条件を振る際にA以外の条件は全て一緒にしておかないと結論は出ません。
そこが、病気治療の方法の結論を出すのが本質的にできないという難問に突き当たります。
ですから、あるがんに対し手術をしたしないによる治癒率の比較は、原理的には可能であっても実際はできないということです。

そこで私が着目したのはK医師を中心とするT病院の飛び抜けて高い治癒成績です。
手術したしないの比較はできませんが、なぜT病院が成績が高いのかは探ることができました。
K医師とは徹底的にディスカションしました。
そして「ああこの病院は徹底的にフィードバックができているな」と感じたのです。
がん細胞を手術中にチェックすることはできませんが、その豊富なデータとノウハウとそれをフィードバックをかけるK医師たちの手法が成績を上げているんだな、と信じました。
それと消化器のがんは手術しやすいということもあります。
再発防止のための抗がん剤治療も、大腸がんの場合においてはかなりしっかりした統計処理をやっているため、これも安心して信じ、治療を受けました。

まとめますと、近藤理論はがんの一般的側面を表す大事な提言です。
それに対し特定のがんの種類において医師なり病院がどこまで考え実践しているかをよく見極めるのがよいと思います。
取りあえず手術してみようというのではほとんど意味がないように思います。

そんな中、がん幹細胞をやっつける治療法が開発されました。
がん幹細胞というのは一般のがん細胞の元になるものです。
普段は目に見えないでじっとしているのだけど、何年か先にもたげてきて一般がん細胞を生成させ、再発、転移の原因になるというものです。
いわば「死なない女王蜂」みたいなもんです。
これをやっつける方法は5年後には実用化しそうとのことです。
これができるなら、手術も成功裏に終わる確率がぐんと高まると思います。

以上、長い記事をお読みいただきありがとうございました。
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鍵コメさん

おはようございます。
今週も1週間お疲れさまでした。
雨の土曜いかがお過ごしですか。

今回の記事読んでくださりありがとうございました。またご心配いただきありがとうございます。
鍵コメさんもその時代に受けられたのですか。それはさぞかし大変だったことでしょう。

お知り合いの方にそのような方がいらしたのですね。
近藤先生の言われるところのこの病気の特質なのかもしれませんね。

ただ、一患者にとって、この病気に限らず病気の治療法がよかったのかどうかの比較判断ができない点があります。
例えば、鍵コメさんのお知り合いの亡くなった方は、近藤理論を打破するような研究を行っている医師の治療を受けてもなおだめだったのか、あるいは別の治癒した方は特別な方法を実施したことにより治ったのか、とかそういう比較判断はできません。
今回の僕の記事の後半の部分で言いたかったことは、近藤理論という一般論を打破するために特定のがんの種類や症状によっては手術が有効になるようなデータや仕組みを確立している医師がいるなら、それを確かめたうえでその治療に臨むという判断があってもいいのではないか、ということです。
そうでないと、全員が近藤理論に従うのであれば、手術は無用という結論になってしまいますから。

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10/26 12:47の鍵コメさん

こんにちは。
貴重なコメントをどうもありがとうございました。

こんにちは^^

胃カメラ検査、そして長文、お疲れ様でした。
しっかりと、きちんと読ませていただきました。

色んな検査を体験されたんですね。
体験した人じゃないと分からない大変さ、
想いがあるでしょうね。

胃カメラは20代から10回近く経験していますが、
あれは何度やっても慣れるものじゃないですね。
先生の、うまい下手に寄るような気がします^^;
ちなみにこの辺では未だに口からです(涙)

全麻での検査は怖いですよね。
(検査ではなく)2回ほど体験しましたが、
もう2度とやりたくないです。

ただ少し思うのは、
一度病気にかかった人の方が、
次からは早目に診てもらおうという意識が働くので、
何かあっても、早い回復が望めそうに思います。
ウチの母親とか見てると、まさにそう。

案外、健康に自身があって、
ふだん病院にかかってない人は、
注意が必要かもしれません。

自分の意見ばかりになりました^^;

検査結果が安心できるものでありますように。

ももこさん

こんにちは。
ようやく雨も上がってきましたよ。
長文読んでいただきうれしいです!
ももこさんこそお疲れさまでした。

ももこさん胃カメラは20代からもう10回も。
随分若い時からやられているんですね。それに未だに口。
若い人の方がしんどいというのを聞いたことあります。
僕は胃カメラは同じ先生にしか受けてませんので人による差はわかりません。やっぱ先生により違いますか。

全麻も2回ですね。大変でしたね。
僕も手術の時1回やりました。

「全ての穴に医療器具を入れたことある」ってナイスな表現でしょ(笑)
今日は大腸カメラ編、今日は膀胱境編、今日はお臍腹腔鏡編・・・って具合に記事をいっぱい書けそうですよ(笑)

病気にかかると検査を進んで受けるようになる。
確かにその通りでしょうね。
健康な人は検査自体で病気にかかった気がしてしまうので、検査から遠ざかりますよね。

ご心配いただきありがとうございます。

No title

そうですね。
胃カメラは、先生による技術の差(あと機械にもよるでしょうが)が大きいように思います。
私は全て別の病院、別の先生に行ってもらいましたが、
最初と、2回目の検査が一番ラクでした。
胃カメラって案外ラクなんだ。
むしろバリウム飲む方が辛いと思ったぐらいです。
ですがその後の胃カメラは、どれもきつかったです(汗)


・・・ほんとナイスな表現ですね^^

だけど、そんなにたくさんの検査(>_<)
ST Rockerさん、今までよく頑張ってきましたね~

お互い、これからも健康第一でいきましょう!^^


ももこさん(再び)

こんばんは。
再コメントありがとうございます!
寒いよ~! もうストーブつけたいくらい。

さて胃カメラそうでしたか。
本当に大変でしたね。
そういえば、カプセルを飲むタイプのカメラは大分性能が上がっているようですよ。あれは樂そうですよ。

「全ての穴・・・」の件、ご賛同ありがとうございます(笑)
膀胱鏡編ではちょっとおもしろい内容があるんですけど、「読んでもOK」という限定メンバーのみ公開の方がいいかも、って考えたりしてます。
もちろんももこさんはメンバーですよ(笑)

はい! 健康第一ですね。

No title

こんにちは^^
同じ医療人としてとても興味深いお話でした。ただ科目が違いますので「へ~」とか「なるほど」とか、思うことばかりでしたが(笑)

私が勤めている所は、都内でもそこそこ有名なので科目や医院名を明かすことは出来ませんが、オペが大変で患者様に負担がかかるのはどの科目も一緒です(><)

オペそのものはDrの技量に任せる事にして、私たちスタッフは特に患者様のメンタル面(精神的不安)等が少しでも軽減されるよう日々努力をしています^^

話は少しそれましたが、何にせよST Rockerの結果が概ね異常無しとの事で良かったです!

お初にコメントさせてもらいます。m(__)m

近藤先生の本 私も 本屋で立ち読みしました。

なので とっても今回の記事 ためになりました。

私は ナースなのに 検査も怖いし その先に待つ
結果も怖くて 検査が受けれない方の人間です。

誰かに 受けろ~って、後押しをしてもらっては
いつも 何とか受けています。

大腸ファイバーは経験済み 胃カメラはなし!

母は、胆石のオペで 腹腔鏡でオペしました。
痩せていたので、医師から (こんなにやりやすいオペは、初めてだった) と言われたらしいです。

患者さんの側に立った本 書いてくださいね。
私が(検査怖いので) 読みたいです。(#^.^#)



みなりなさん

みなりなさん
こんばんは。お元気ですか?
ありがとうございます!
みなりなさん医療関係ですものね。
僕の話がみなりなさんに少しでも役に立ったならうれしいです。

みなりなさんのようなお人柄の方がいらしゃれば患者さんもきっと安心して診療を受けられることでしょう。

お仕事は結構大変でしょう?
たまに息抜きしてくださいネ!

ゆりママさん

こんばんは。
コメントありがとうございました!

ゆりママさんのような医療のプロの方に対して失礼なことを言ってしまったかもしれませんけど、
そのようにお感じになったとお聞きして、書いてよかったと思いました。

僕も最初は検査は怖かったのですけど、自分で大きな病気をしてからは、結構大丈夫になりましたよ。
ゆりママさんもお母さまもこれからずっと健康でありますように。

大変なお仕事と思います。是非頑張ってください。
音楽が好きですので、是非毎日遊びに来てください。
プロフィール

ST Rocker

Author:ST Rocker
ビートルズ解析ブログへようこそ!
つくば-千葉-さいたま の三角形を行き来していますす。
モットー:理系なのに熱く音楽、政治・経済を語る。
酒と冒険と音楽をこの上なく愛し波乱万丈の人生を送るB型です。
ご気楽にコメントください。

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