嗚呼、気象予報

みなさまこんばんは。
雪の後遺症は一部の地域ではまだ甚大なものがありますね。
お悔やみ申し上げます。

今日は気象予報の立場から書いてみます。
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なんちゃって偉そうですけど、一応僕は子供の頃は気象少年でした。
かなりガキの頃から天気図が好きでして、ラジオの気象通報を聴いて天気図を書いたりしていました。
台風や雪などの気象のことも子供の頃から関心がありました。
いろんな気象の統計のことも関心あります。

3年前に本社に勤めていた時、抗がん剤治療をしていたのですが、あまりのしんどさに2時間おきくらいにオフィスを抜け出て、よい空気を吸うために皇居周辺を歩き回っていました。
ある日、気象庁の外郭団体のそばを通ったので、気象予報士の願書だけはもらってきました。

この冬のような太平洋側の雪は気象予報士泣かせですね。
昨年の成人の日では予報では雨の可能性が高く、雪だったとしても大して積もらないということだったので、人々は安心していました。そこへあの結果。交通が大混乱したのです。
そこで今年はあの失敗を懲りて、先々週末の予報ではしっかり大雪の可能性を伝え、見事に的中したのでした。
ところがそれで安心してしまったのか、先週金曜夜の東京の積雪は10cm程度の予報だったのが、みるみる27cmにまで達し人々を大慌てさせたのでした。

でもですね、太平洋側の雪の予測って大変難しいんです。
日本海側と太平洋側では降雪のメカニズムが全く違います。

日本海側の雪は西高東低の冬型の気圧配置になった時に降ります。低気圧によるものではありません。
大陸からの北西の季節風が強まる時に降ります。
大陸から吹き出す時は乾いた冷たい風ですが、日本海の暖かい海水から蒸発される水蒸気をたっぷり含みます。
それが日本の高い山々にぶつかって上昇気流となり、高い所に登った空気は圧力が下がるので水蒸気を保っていられなくなり、水として落ちるのです。すなわち雪です。
こうした大規模な安定した気圧配置で起こるのが日本海側の雪です。
これですと予報はそう難しくはありません。

日本海側で雪を降らせた季節風は山を越えるあたりでは水蒸気はほとんどがなくなっているので、太平洋側では乾燥した晴天になるのです。
ただ、関東以外では冬型でも時々太平洋側でも雪が降ります。
関東では、さえぎる山がアルプスとか三国山脈のように高くてブロックのしっかりした山々であるため、雪が山越えをするのは稀ですが、関東以外ではさえぎる山が低かったり切れ目があるので雪が太平洋側にも時々来るのです。

雪は水分の供給がないと降りません。
もし日本海というものがなかったら、日本海側でも雪は降りません。単に冷たい風が当たるだけです。

では太平洋側に雪を降らすにはどうやって水分を供給するのでしょうか?
それが低気圧です。
台湾あたりから日本の南岸沖をやってくるあれです。

この低気圧、しばしば台湾坊主と呼ばれます。
台湾坊主は冬真っ盛りではあまり発生しません。主に2月、3月ですね。
そもそも前線とか低気圧は、冷たい空気と暖かい空気がぶつかってできるものです。
ですから、大陸性の冷たい空気に対し太平洋からの暖かい空気の塊がせめぎ合う2月以降に低気圧は発生します。

低気圧は台風と同様、左巻きの渦巻きです。
だから、低気圧が南岸沖を通ると太平洋側に風が渦巻き、水分が供給されます。
低気圧のど真ん中や南側は暖かい空気が来ますので、雪でなく雨が降ります。
北側は冷たい空気が流れ込みかつ水分も供給されるので雪になります。

最大の気象予報士泣かせは、日本の太平洋側の気温そのものが雨になるか雪になるかの境目くらいなため、低気圧がどこを通るかの微妙な部分と、上空の寒気の強さとかの気象条件に大きく影響されます。
水分、暖気、寒気、そして渦巻き。これらを想像してください。
すごいぐちゃぐちゃの世界でしょ。
太平洋側降雪の場合、場所によって積雪量が随分違うのはこのためです。
低気圧がどこを通るかで雪が多く降る場所が変わるのです。
しかも低気圧は動きますし、発達したりもする。
影響を与えるファクターがすごく多いのです。

大規模な気象の状況を予報するのみでなく、ローカルな情報を総動員した新しい予報システムが必要になるでしょうね。

最後に余談ですが、最近のテレビやラジオの天気予報では、「***の恐れがあります」とよく言います。
恐れとは確率的にはそう高くないことを言うはずですが、その可能性が十分あるのに「恐れがある」というのは適切ではないと思います。
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No title

今朝はお天気rockerさんから一つ勉強ができありがとうございます。

最近、これまでに無い用語を耳にするようになりました。

爆弾低気圧・南岸低気圧等々と、やはり地球全体が変わってきて、
気象のも大きな影響が出てきているのでしょうね?

日本列島に大雪、洪水、竜巻と何処にでも発生するようになったような気がします。
穏やかな空を眺めながら手を合わせてます。

No title

ST Rockerさんって、ほんと、いろんなことをご存知ですね~
私はそこに感動してしまいました。

「恐れがある」
気にしたことのない言葉でしたが、なるほど!

学生時代「最も○○のひとつ」という言葉が理解出来なくて
先生に質問しても、説明してもらえなかったことを思い出しました。
今はネットがあって便利です。

No title

ここ数年のお天気は
気象予報士泣かせだと思いますよ
地球温暖化のせいなのか異常気象もあって
過去のデータからでは予測が難しくなってきているのかな~と…

お天気もローカルな情報の方が重要になってくるかもしれませんね
それにしても2週連続の東京の雪はすごかったです

S.パティーさん

こんばんは。いつもありがとうございます。
いえいえ、とんでもないです。
でもうれしいです。

そうですね、新しい用語が定着するほどの変わった気象現象が起き始めていますね。
とにかく変化が大きいですね。
そして世界中で同時に変わったことがたくさん起るようです。

本当に穏やかな気象になることを祈りたいですね。
何かお役に立てないかなと思います。

mimuro♪さん

こんばんは。
いつもありがとうございます。

たしかにいろんなことに首つっこんでますけど、そんなに大したことありませんよ(笑)
でもありがとうございます。

「最も○○のひとつ」、僕もずっと同感に思っていました。
英語でもone of the most ****s って言うことがあるんですよ。
意外に英語もいいかげんですね。

そうですね、ネットではすぐに情報が得られますね。
寒いのでご自愛ください。

honey*caramelさん

こんばんは。
本当に今回の東京の雪はすごかったですね。
また降りますね。
もういやになってしまいますね。

予報にはファクターがどんどん多くなっていますから、従来のやり方だけではだめだと思います。
ビジネスチャンスでもあると思います。

いろいろ考えてみたいと思います。
是非アイデアもお聞かせください。
プロフィール

ST Rocker

Author:ST Rocker
ビートルズ解析ブログへようこそ!
つくば-千葉-さいたま の三角形を行き来していますす。
モットー:理系なのに熱く音楽、政治・経済を語る。
酒と冒険と音楽をこの上なく愛し波乱万丈の人生を送るB型です。
ご気楽にコメントください。

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