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ビートルズ解析例 その9

- Yesterday 7小節の謎を解明する! -

通常の4拍子の曲の場合、8小節で主テーマ(1番、2番というあの単位)を構成するのが普通である。たまに12小節や10小節もあるが、とにかく偶数の小節数である。
主テーマの出だしは普通、キーのコードが2小節以上続くのがオーソドックスだが、時々付随コードが先行する場合もある。
ビートルズはこれらの関係においても、大変多彩なやり方で多くの曲を発表した。

オーソドックスな構成の例としては、Help!。キーのコードであるAで出だしの2小節を演奏し、8小節で主テーマを終える。大変安定した運びの曲調ゆえ、安心して聴いていられる。
オーソドックスゆえ、時として印象の薄い曲に陥りがちだが、そこはメロディと編曲のよさでハイクウォリティなものに仕上がっている。

非オーソドックスな例としては、All My Loving。キーはEだが、出だしはF#m。
8小節で主テーマその1がB7が終わり、引き続き主テーマその2が同じメロで始まり、8小節後にめでたくEで終わる。
この曲、キーEなのに、最後で安定的にEで終える他は、Eはほとんど出てこない。
にもかかわらずそんなに不安定に聴こえないのは、いろいろ出てくるコードに共通する関係はEのみしかないので、聴く人がEであることを自然に自覚するからだと思う。

そして、ビートルズにはこうした説明ではつかない超例外の曲がいくつかある。
その代表例はYesterday。超名曲の一つである。
この曲、弊解析例1でも登場したように、全音下げチューニングのギターでGのフォームで弾くことを特徴とする。しかもそのGは根音であるソと5度の音のレしか出さない。
Yesterdayが超変っているのは、主テーマが7小節なことである。
定石を打ち破った冒険野郎であるが、その変わり者ぶりが聞き手を完全に翻弄している。(我々はあれがあたかも標準であるかのように聴いている。)

実は私が中学くらいの頃、Yesterdayを初めて聴いた時「何か変だなあ」とは漠然に思った。
しかしその後、この曲が超メガヒットと知ると、受け入れる気持ちが強くなり、いつの間にか変なイメージも消えてしまった。
この「7小節のトリック」を解明した人はまだいないのではないだろうか?

では解析を始めよう。
解析に当たって比較例として使わせていただくのは、かぐや姫の「神田川」です。フォークの超大ヒット作である。
Yesterdayと神田川は共通点があり、ある意味似た曲風だが、相違点もあり、Yesterdayの謎を解くにはよい比較例だがらである。
かぐや姫さん、尊敬を込めて使わせていただきます。
ここでは便宜上、この両曲のキーをGとする。

まずかぐや姫のコード進行は次の通りである。数字は小節を示す。
1:Em、B7、2:Em、3:C、D7、4:G、B7、5:Em、B7、6:Em、7:C、D7、8:G

このように、Emを中心とするマイナーコードが多用されている短調の曲である。
1~3小節目のコード進行が5~7小節で繰り返され、安定した印象を感じる。

次にYeterdayのコード進行を見てみよう。
1:G、2:F#m7、B7、3:Em、Em7、4:C、D7、5:G、GonF#、6:Em7、A7、7:C、G

まず気付くのは、神田川の2、3小節とYesterdayの3、4小節が同じであること。
そして、神田川の1、4、5小節とYesterdayの2、5、6小節が「似ている」こと、である。
つまり、神田川の1~5小節とYesterdayの2~6小節は「似ている」。
そして、それ以外の小節は全然違う。

大きな違いは、神田川は、4小節ごとの基本的に同じメロとコード進行をを繰り返して、主テーマ8小節になるのに対し、Yesterdayは、明確な繰り返しがない。
Yesterdayを敢えてブロック分けすると、1、「2と3」、「4と5」、「6と7」の4ブロックである。
そしてそれぞれのブロックの最後で韻を踏んでいる。
しかしコード進行はバラバラであり、繰り返しの規則性がない。

もう一つの大きな違いは、神田川は明確な短調なのに対し、Yesterdayでは「一応」長調である。
「一応」と書いたのは、長調にしてはマイナーコードが多すぎるし、Gの部分のギターフォームが上述したように、2音しか使っておらず、通常のGより緊張して聴こえる。
つまり、短調っぽく聴かせておきながら、完全に短調に入る前に長調に戻り、最後は長調でしめる。
しかしその長調も緊張している。
よって、全体的に短調と長調の中間領域といえよう。

材料でいえばハイブリッド材料のような設計だ。
つなぎと進行がおかしくならない範囲で異種のものをつなぎとめたことと、その「接着剤」が特殊フォームのGで取り持ったことが大きな特徴と結論付けられよう。
要するに、つなぎ合わせの人造曲なので、小節繰り返しのセオリーは当てはめられないのであろう。
リスナーとしても「何か変だな」と無意識には感じながらも受け入れてしまう。

材料で言えば、疎水性のポリマーに親水性のポリマーをブロックさせてミクロ相分離構造を作ることにより、血液は人造ポリマーであることを認識できず、血が固まらないのと似ている。
結局、音楽の作曲って技術開発と似ているな、と思う。
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テーマ : ビートルズ関連
ジャンル : 音楽

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ナンセンス。論理になっていません。ポールに失礼です。

続き

なぜこの分析をナンセンスと評価したのか。理由は明白。楽曲の構成を「規則性」に限定しているから。規則性が無いことで表現も広がります。規則性(繰り返し)だけでは機械のような無味乾燥な音楽にならない? ポール(ビートルズ)が凄いのはそこだよ。規則にとらわれない表現があったから50年経過しても多くの人から愛されている。その点を冒涜したようなこの分析は残念。 

NONEさん

コメントありがとうございました。
この「Yesterday 7小節」の件はビートルズ解析例9-2(微修正)にも書きました。
普通は曲は8小節とか12小節を守るのに、何故Yesterdayは7小節なのか、しかもなぜそれが違和感を感じないどころか完璧に聴こえるのか、に対して持論を展開しました。
ですから、「楽曲を規則性だけで論じている」のではなく、今までの一般常識をも破れるポールの発明に敬意を払ったものです。
なお、ポールのみならず、ビートルズ全体を愛し尊敬していることは、ブログ全体を読んでいただければご同意いただけると思います。

NONEです。コメントに応じていただき、ありがとうございました。
微修正記事も拝読いたしました。分析するにはあまりにも難しい曲ですね。とても第三者が楽典や理論を用いて解明できるものではないのかもしれません。作曲者のポール以外まさに「永遠に解決できない課題」でしょう。それにしても、ビートルズを尊敬しておられるとのことですが、そうであれば
「つなぎ合わせの人造曲」とか「サイボーグ」という表現は、神聖な楽曲を喩える用語としてはあまりにも刺激的な表現ですね。私には使えません。一人の生身の人間がある朝インスピレーションを受けてメロディ(コードは同時だったのでしょうか?)を展開したということですから、人間が自然に展開したものです。人工、人造的な要素は微塵もないと信じています。この表現だけは違和感があるなぁ…。

NONEさん

記事を読んでいただき、コメントをいただきありがとうございました。
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Author:ST Rocker
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つくば-千葉-さいたま の三角形を行き来していますす。
モットー:理系なのに熱く音楽、政治・経済を語る。
酒と冒険と音楽をこの上なく愛し波乱万丈の人生を送るB型です。
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