「103万の壁」にメスを入れる

みなさまこんばんは。
真夏のような暑さですね。
お元気でしょうか?
とにかく、今週もお疲れ様でした!

今日はサラリーマン家庭必須の問題です。

(昨夜は表の鮮明度が粗くて失礼しました。やり直しました。ファイルのアップロードは、1ファイルあたりの容量制限がいつの間にか2MBになっていたのですね。)
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世の中にはモノの性質を論じるのに「定性的」と「定量的」の2種の見方がある。
定性的とは「こうすればこうなる」という「傾向」のようなもの。
例えば、人間は歳を取れば病気にかかりやすくなるとか、炭酸ガスは地球の温暖化を進める、とか。
これに対し定量的とは、「ではそれがどれくらいになれば具体的にどうなるの?」ということを量的に解明する手段である。

例えば消費税の問題。
ほんとは健全な税収アップにはGDPの増大が最も好ましい。つまり経済自体が元気になることだ。
でもそれがなかなかそうはいかない。ならば仕方なく国民の懐から拝借する。それが消費税だ。
最も直接的、短絡的に増収が見込める。
ただし、消費の冷え込み等により経済が元気でなくなる逆効果も同時に起きる。
さらに様々なファクターもある。
こうしたファクターを条件ごとに当てはめて経済の伸び、とそれがもたらすあらゆる税収の変化を定量的に見積もるべきなのである。

このように、大抵の問題はトレードオフの関係がある。つまり、一方が立てば一方がしぼむ関係だ。

我々の身近な問題として「配偶者控除」がある。
サラリーマンとその配偶者にとって昔から関心の高い事柄だ。
よく言われるのが、妻のパートの収入を103万円以下に抑えるべき、という例の「103万の壁」問題だ。
さらには、配偶者特別控除枠の上限である「141万の壁」もある。

みんな異口同音に妻の収入は何がなんでも103万(あるいは141万)以下に抑えようと言っている。
しかし、では一体何がどうそんなに効いてくるのか?
そして、103万(あるいは141万)を超えたら何がどうなるのか?
これを定量的問題として解明している人は一体どれくらいいるだろうか?

はっきり言って我が家はこの件は今さらどうでもいい。
若い方々のために、今回、僕が一肌脱いでみた。(これって死語かな?)

では解析開始!
まずは我が国の現在の所得税率を確認してみよう。表1である。


ごらんのように所得が上がるほど所得税率が上がっていく「累進課税」である。
高額所得者は税が重い。
給与等の収入から各種控除を差し引いたされる所得金額に税率をかける。
ここでさらに「控除額」とあるが、これがわかりにくい。
要するにこれは、税率が違う領域のつなぎ目を連続にするためのものだ。
例えば、もしこの控除額がなく率だけで決めるなら、所得額が900万円を1円でも超えたら10%も税が増える、すなわち90万円も一気に上がってしまう。
そんなことを避けるために、数学で言う「切片」を与えて連続に乗り換えるようにしている。

今回の記事では、年収が300万円台の場合と900万円前後の場合に大きく2つに分け、各場合において配偶者の収入が0から170万円まで6段階に振って、配偶者(特別)控除額により所得税がどう変わるかをきちんと計算し、その結果、夫婦の実際の手取り額がどう変わっていくかを計算した。
表2を見ていただきたい。


一番左の緑の列が主たる給与所得者の所得金額である。
真ん中あたりの黄色の列が配偶者の年収である。
ここでは配偶者控除と配偶者特別控除の中味の説明は省略する。
配偶者自身も収入が103万を超えると所得税がかかる(5%)はずである。

右から2番目の水色の列が夫婦の手取り額の総計である。
ただし、総計と言っても給与所得者の非課税分の収入は含んでいない。
また、住民税も考慮していない。
住民税は課税対象所得が200万以上は一律だと思う。(違うかな?)
だから、今回は比較には含めなかった。

表の解釈として一番わかりやすいのは、一番右の列である。
6行毎の6つのグル―プがあり、各グル―プの一番上が配偶者の年収が0の場合。
そして一番下が170万の場合。
一番右列は、配偶者が働くことにより夫婦の手取りがいくら増えるのかを計算したものである。

ごらんのように、各グループとも、配偶者の年収が103万までは、それがそっくりそのまま増収となる。
まあ、だから103万円以下の年収が魅力があるとされるのだろう。

では、120万年収があったらどうだろう。
給与所得が300万円台の場合は、114~116万円程度の増収。
900万前後の場合は、112~113万円程度の増収。

さらに、170万の場合は、それぞれ157~161万円、152~156万円程度の増収である。

たしかに、103万を超えると、だんだん目減りしてくる。
120万程度では大した目減りではないが、170万では最大18万減ってしまう。

でも高々1割程度である。普通の税の感覚だ。
急にどこかで落とし穴にはまるほど落ち込むわけではない。
ましてやどこかで逆転現象が起きるのでもない。
何が何でも103万以内に収めておくほどではないだろう。

ただし、給与所得者の給与が多いと目減りがより大きくなる。
ひとえに累進課税だからだ。

配偶者が働いて増収になる割合は低所得の家庭ほど効果が大きい。
それは理にかなっているとも言えるだろう。
だから年間所得1,000万を超えると配偶者控除が受けられなくなったのかもしれない。

しかし300万円台の場合においても、何が何でも103万に抑えておく方が有利というほどでもないと思う。

300万円台の家庭で、配偶者の収入が103万から170万に増やした場合は54~58万程度の増収はあるのだから。

あとは各家庭での考え方ですね。
いかがでしたか、定量的な解析。
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テーマ : 税金
ジャンル : 政治・経済

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No title

今日のお話、凄~く納得してます。
私が働かなければ遺族年金は100㌫貰える。
でも働いてるから、その分減らされます。
所得税払うから、働かせて!
遺族年金は100㌫欲しいと思う私は間違ってるのかな。
最近、真剣に考えてる問題です。

太巻きおばばさん

おはようございます。
いつも出勤前に素敵な記事を拝見し癒されております。

遺族年金ですね。
これに関しては僕は勉強不足ですので、正直よくわかりませんが、おっしゃるようになかなか難しい問題だと思います。
もし機会があればお話しを伺えたらと思います。

年金についても一度つっこんで書いてみたいですね。
よい週末をお過ごしください。

No title

おはようございます♪
興味深く拝見させていただきました(*^_^*)
所得が営業所得であればさまざまなものが必要経費として控除され、
更に基礎控除等の各種控除がされた上で税率をかけられますが、
給与所得者の場合、必要経費にあたる控除計算が
決まってますもんね。ごまかしようがないというか・・・(^_^;)
給与明細見るたびに所得税欄を見て深いため息が出ます(^_^;)

さて、私は働いていますが、個人的には「103万」の壁に
囚われることなく、扶養を外されても配偶者もガンガン収入を
得た方がいいと思ってます。
170万で18万減ってしまうのが損と考えるなら
配偶者も300万でも400万でも収入を得た方が
(所得税も住民税も保険料も払うことになりますが^^;)
生活は豊かになるわけだし、国の経済も税収も潤いますもんね。
女性の雇用が更に増えれば今後差し迫った労働人口減少問題にも
少しは歯止めがかかるような気がします。
なんだか、雇用の話になっちゃった(笑)
要するに女性も若い人も高齢者も働けるうちはガンガン働こうよ!!
働く場も提供してよ!!ってことです(^_^;)
あ、あくまでも個人的意見です(^_^;)

そふぃーおばさんさん

おはようございます。今週も大変おつかれさまでした。

まさにおっしゃる通りだと思います。
「103万の壁」という社会通念はまさに女性の、しかも結婚後や出産後の雇用形態と密接にリンクしていると思うからです。
その現状をどう捉え、そしてそれに向け女性本人が、あるいは女性を支える家族やパートナーがどう捉え行動するか、です。

今回の記事ではまずは「103万問題」というものを、量的な解析をしたならば、実際はどうなのだろう、ということをしっかり掴みたかったためです。
なんとなく社会通念に流されてしまっている、ということを打破したかったためです。

今回は敢えて結論めいたことは書きませんでした。
しかし、そふぃーおばさんおっしゃるように、「103万の壁」は恐ることはない、と僕は言いたいです。
(ただし、堅実に考えたほうがいい場合のご家庭もあることでしょう。)
別の言い方をすると、配偶者控除とはどのようなケースに対し有効に働く制度なのかを量的にきちんと理解する必要がありますね。

そうした上で、各人が自分の働くパターンをもつべき、ということになるでしょう。
そふぃーおばさんさんがsuggestいただいたように、次のテーマは女性の雇用形態ですね。

いろんな問題に果敢に取り組み、お仕事を頑張っておられるそふぃーおばさんさん、尊敬しています。
第1回のイヴェントの研究テーマは「配偶者控除と女性の雇用形態について」でしょうか。

ST Rockerさん、こんにちは^^

こちらは晴れて暑いほどです。空はPM2.5で白いです^^;
でも寒がりの私には活動的な季節です♪

ST Rockerさんの所も、晴れているんじゃないですか?
どんな午後を過ごしていらっしゃいますか?^^


さてさて、今日の記事も興味深く読ませていただきました。
実はこの手の内容、私はニガテでよく理解しておりませんでした^^;
それをスラスラと説明するST Rockerさんは、本当に尊敬します。スゴイです!

手に職を持つ女性に憧れます。
私はのほほん組なので尚更。。^^;

記事について感想を述べることができず、申し訳ないです。
でもあえてこの記事にコメントつけさせていただきました。

明るい笑顔の週末を。。☆

わかりやすいです

「103万円の壁」が、こうして、実際の所得が増える過程を分析すると、
さほど大きくはなく、言葉のロジックにだまされている感が強いですね。

「壁」を意識して、仕事を減らしている人が、実際に、どれだけいるのか、
単純に税控除をなくして、実質増税したい当局の言い訳に思えてきます。

税額控除よりも、扶養がはずれたときの、健康保険や国民年金の方が、
負担する料金がかかり、実収入が減るから、問題かなと思ってます。

ももこさん

こんばんは。
暑いですね!
空が白くなるほどですか。それは大変。
でも活動的な季節ですね。いいですね。
こちらは蒸し暑いですよ。
今日はちょっといろいろやっていて返信遅れ失礼しました。

さて、今回の記事ご興味いただきましてありがとうございました。
僕もそんなにわかっているほうではありませんけど、是非一度真剣に計算してみて実際どうなのか、を知りたかったので、それがようやくできた感じです。

ももこさんは素晴らしい才能があるので、お仕事をされるなら有利だと思います。

ももこさんこそ、引き続きよい週末をお過ごしください。

ギターマジシャンさん

こんばんは。
ありがとうございます。

おっしゃるように、103万の壁は「壁」というほどのことではなかった、と言えると思います。
あるいは、103万はどういうケースに考えるべきかが、量的な問題で明らかになったのではないでしょうか。

当局による増税と配偶者控除の関係。
たしかにそのムキがありますね。
ですから、なおさら配偶者控除の理解を進めないといけませんね。

健康保険や国民年金ですね。
おっしゃる通りだと思います。
そちらの件も是非一度つっこんでみたいですね。

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鍵コメさん

おはようございます。
毎日かなり大変なご様子。お察しします。
でも明るい鍵コメさん、応援してますよ。
楽しみつつ頑張ってくださいね。
プロフィール

ST Rocker

Author:ST Rocker
ビートルズ解析ブログへようこそ!
つくば-千葉-さいたま の三角形を行き来していますす。
モットー:理系なのに熱く音楽、政治・経済を語る。
酒と冒険と音楽をこの上なく愛し波乱万丈の人生を送るB型です。
ご気楽にコメントください。

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